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地磁気観測所要報 第13巻 第02号, p.1, 1970年3月


土壌への加圧により発生する地電流変化について


大島汎海


要旨

 未電化時代の常磐線に運行していた蒸気列車を利用して,土壌に圧を加えたために生ずる地電流変化を測定した結果と,それに対するー解釈について報告する.測定の結果,地電位差には20mVを超す大きな変化が観測されたが,列車荷重程度の圧では測定にかかるほどの大地比抵抗の変化(大地比抵抗の値に対しその変化分の大きさが1%程度以上あれば検出可能である〉は全く認めることが出来なかった.これは地電位差に現われた大きな変化を大地比抵抗の変化によって説明しようとする考えを完全に否定するものである.そこで大地を半無限にひろがる多孔質隔壁と考え,その中に土壌水が満たされており,それと土粒との間に電気二重層が形成されているものとして,そのような大地に加圧することにより土粒細隙を土壌水が移動して,それに伴う流動電位が生じ,そのために大地中に漏洩電流が流れると考えて見た.この考えにもとずいて計算を行なったところ,実測した地電位差変化とよく一致する結果が得られた.これにより土壌への加圧により発生する地電流変化の主たる原因は土壌中の流動電位とその大地中への漏洩であるという結論に到達した.この問題は大地中の圧力不均衡域と差電位差の関連を通じて,地震予知問題と重要な結びつきをもってくる可能性があるものと考えている.



[全文 (PDF; 日本語; size:831KB)]


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