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地磁気観測所要報 第01巻 第04号, p.44, 1938年12月


H.H.Howe:単線吊磁力変化計の理論(紹介)


大宅耿


要旨

 本編では別途量を用いる.制御磁石の不均等磁場を省略して簡単で包括的な方程式を得た:
  磁軸に直角な変化に依るradian 当りの寸法値は(k+P)となり,茲にkは捩れの常数の磁気能率に対する比で,Pは磁軸に平行な磁場である.其の結果を吟味して,是が他の寸法値方程式に優越する事を示した.而してH-変化計に於いて,其の読み取りをD-変化計の夫と精細に組合わせる必要の無い場合は,其の寸法値として此式は十分である.
  此問題を更に一般的見地から検討した.水平分力Hは実験的に縦座標n,偏角D 及び温度tの関数である.そしてこれ等変数に依りTaylor級数で表される.解析の結果(a)此方法は二次の効果を考慮する際屡々犯された間違いを防止し;(b)もっとも便利なよう適当に定義すれば,温度係数は縦座標及び偏角に無関係となる;更に(c)水晶剛性率の温度係数符号の取り違いから著しい誤差が惹起されていたことが判明した.
  寸法値変化の考察より(a)捩冠を捩じても基線寸法値には殆ど利かぬ;(b)縦座標に伴う工学的槓杆変化の効果に対する簡単な公式を導出した;(c)縦座標に依る変化の主項は,磁石が回転すれば地球磁場の一部が磁軸に平行に作用する事実に基づく:(d)単一H-変化計に於いて基線値及び基線寸法値の温度係数はまったく同じ;(e)感度調節磁石は寸法値に対し大なる温度効果を付與する;(f)工学的温度補正は正規の場合と反対符号の効果を生じ,是は小さいときも甚だ大きい時もある;(g)実測寸法値に必要な補正値を誘導した.偏角変化の効果を考慮した.是は適当に調整せる変化計に就いても尚著しく,殊に温度補正装置皆無或いは工学的補正の場合に於いて然りである.
  D-変化計に到する同様な取扱では(a)他の磁石K依る磁場に到して補正しない限り,寸法値は著しい誤差を有する.; (b) H変化の影響は変化計が適切に調整されてゐる以上全く無視される−−従ってD-変化計は如何なる分力変化計より遥に正確である; (c)方向に依る誤差及び其大きさは変化計の温度係数から摘発し叉評価される.
  一定方向の磁力成分に同様な方法を施せば,其公式はH-変化計の揚合よりも精々簡単となる.調整不良を考援した結果,H及びDからのX及びY日週変化計算公式は展々不正なる事が判明した.計器設計並に其取扱上可能な或種の改良を示唆して置いた.



[全文 (PDF; 日本語; size:2365KB)]


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