Sano, Y., Nagai, M., Yanagihara, K.
Some Analyses of Dst and DS Fields of Magnetic Storms during the IGY ( II )
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 10, No. 2, pp. 1-18, March, 1962
要旨
前回は IGY 期間中1957年に起きた9個の急始嵐の Dst 及び DS の発達と減すいについての解析を行なつたが,今回は更に1957年−1958年に起きた10個の急始嵐と2個の緩始嵐について解析を行なつた。
前回の結果と同じように Dst場の発達と極光帯地方における平均の DS場の強度とは良い対応がみられる。即ち Dst場の発達段階にはほとんど例外なく DS場も発達している。そして多くの場合これ等の現象は不規則且つ断続的に起つていることから,これは太陽微粒子流の複雑な構造によるものであろうことが考えられる。
Sano, Y.
Morphological Studies on Sudden Commencements of Magnetic Storms Using Rapid-run Magnetograms during the IGY ( I )
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 10, No. 2, pp. 19-42, March, 1962
要旨
IGY 期間中の地磁気早廻し記録を用いた地磁気嵐急始部(s.s.c)の現象論的解析を行なつた。即ち北半球の半領域にほぼよく分布している9ケ所の観測所の資料を用いて,約30個の s.s.c についてその水平変化ベクトルを求め,その変化,形態について調査を行なつた。一方,これらの水平変化ベクトルのうち非常に規則的かつ典型的な変化をしている4例について,可能なかぎりの等価電流系を求め,その変化の様相を解析した。今回の解析から得た結果は次の通りである。
水平変化ベクトルについては,非常に多様性が,特に高緯度において,あるけれども,それらは比較的地方時と緯度によつてある型に規定されるようである。大別して地方時の7時頃を中心とする半時計廻りの回転を示し,かつ増加し減少する変化磁場を示す型と地方時の17時頃を中心とする前者と正反対の変化を示す型の二つに分類される。又このような急始変化の位相は同一経度においても緯度によつて異なり,緯度が高くなるほどおくれている。等価電流系の様相については,それは勿論定性的なものであるが,形状は大体双極子的な型である。その変化の特性は,(1)その中心が相反する両半球において緯度を異にしていること,(2)中心は高緯度の方向に急速に移動すること,(3)一般に位相の正反対なこつの双極子型電流系の重ね合せ的な変化を示すこと(4)電流系の回転はあまり起らないこと,などが主な結果である。資料が,現在のところ充分でなく,これらの結果も充分なものでないが,かなり一般性のあるものと思われる。
Banno, N.
On a Relationship between Decreasing of Horizontal Intensity and Kp-indices
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 10, No. 2, pp. 43-46, March, 1962
要旨
地磁気擾乱の際に水平分力の減少する現象について,1953〜1958の柿岡に於ける観測値と Kp インデックスを用いて調査した。結果の概要は次の通りであつた。
1.弱い擾乱の際も水平分カは減少する。
2.減少の量は太陽黒点の多い時は少い時より大きい。
3.減少量はKp の日合計が30を越えるあたりから急に大きくなる。
4.擾乱による減少効果は数日続き,太陽黒点の多い時は少いときより長びく。
Yamaguchi, Y.
A Study of Magnetic Sudden Impulses
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 10, No. 2, pp. 47-94, March, 1962
要旨
地磁気急変化は,SSC,S.I.,Bay,Pulsation 及び s.f.e に大別されるが,その中 S.I.以外の諸現象については,現象論的にも,理論的にも,多くの研究が為され、かなりの程度迄明らかになって来た。又近時の惑星間空間に関する知識の増大に従い,発現機構も,推論の域を脱して,着実に実証されつゝある。一方,S.I.は,急始変化研究の初期には,SSC と区別されず,両者を意識的に分けて取り扱い初めたのは,比較的近年に属することであり,その後も研究者達の多くの努力は,SSC 研究に向けられ,その一部分をS.I.研究にさいてきたに過ぎない。
他の地球物理学的現象の研究分野からの注意も SSC storm にのみ向けられてきた嫌いがないでもない。勿論この小規模の変化が急始磁気嵐程,顕著に他の現象との関連を示さない事が一因であることも否めない事実であろう。けれども,S.I.は今後に予想される人工的擾乱を識別する為にも,或いは,より深く急始磁気嵐を理解する上にも,明らかにされねばならない現象の一つであろう。本稿の第一部は,SSC と仕較するという立場から,S.I.の現象論を記述し,第二部に於いては,その発現機構に就いての考察を記述した。第一部に於いては,最初に,中緯度地方の水平分力記録に基き、四種の基本的変化型に分類し,その表示記号を提出した。それらの地理的分布,Dst に相当する擾乱及び赤道地方に於ける振巾の増大等を調査し,第一型の中の水平分力の増大する場合は,弱い急始磁気嵐と殆ど差がない事が明らかになった。一方この型に分類した変化の中で,水平分カの急減する現象は,かなり広範囲(低緯度地方でも)に起り,SSC の変化型の或る種の現象の水平分力の急減とは,異なっている。水平分力の急減も,その急増と,ほゞ同程度の頻度で起り,急変化に伴なう脈動の様相は,両者で多少異なるように思はれる。第二型,第三型の尖塔状及び振動状の急変化は,擾乱中には数多く観測されるが,稀に静穏時に孤立して観測される。両者の成因が完全に同一か,否かは,明らかでないが,後者に属する変化が,擾乱中にも起っていることは,確かであろう。第四型は,第一型の水平分力の増大する場合と減少する場合が,二,三時間の間に起り、両者相俟って,独立した一現象と考えられるものである。第二部に於けるS.I.の機構考察の基本的立場は,急始磁気嵐と殆ど同様の機構を考え,地球と微粒子流の相互位置関係の相違によって,一は SSC となり,他は S.I.となるとするものである。即ち一次的原因と考えられる微粒子流が,地球を包み込む過程を経ないで,或いはその縁辺を掠めて過ぎる場合或いは微粒子雲の一部分のみが地球磁場に影響する場合等には,急始磁気嵐のような擾乱を起さないであろうと思はれる。そのような接近の仕方をする微粒子流も地球磁場の急変化を起し得る事を近似的に検討した。
Yanagihara, K.
Linear Relationship between Amplitudes and Periods of Geomagnetic Variations
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 10, No. 2, pp. 95-100, March, 1962
要旨
地磁気変化の振巾と周期を一般的にみると大体比例関係があることは従来なんとなく考えられていたが,それを国際地球観測年中の柿岡の観測結果から確かめた。なお周期10秒以下1秒程度までの超短周期変化にも言及した。
Kondo, G.
On the Air Earth Curreny
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 10, No. 2, pp. 101-106, March, 1962
要旨
T.G.Y.期間中 Kasemier の方法で空地電流を測定した。測定は多くの困難さがあつて充分ではなかつたが,
1)静穏日の現象は旬平均ではオームの法則にしたがつている。
2)伝導電流の日変化は関川氏が計算したものと大体一致している。
3)対流電流の日変化は約 0.05m/sec の上昇気流と空間電荷から説明され得る。
と云うようなことが分つたので報告するが,さらに完全な測定により充分な議論をもつ機会があたえられることを希望する。
吉松隆三郎
地磁気常時観測結果と地震(T)
地磁気観測所要報, 第10巻, 第2号, pp. 107-118, 1962年3月
要旨
Using the monthly mean values of the horizontal(H) and vertical(Z) intensities and their deviations, △H and △Z, from the twelve-month running averages, Which have been observed at Kakioka,Memambetsu, and Kanoya magnetic observatories during a few recent years, the author intended to trace some geomagnetic changes, if any, due to the principal shallow near-earthquake of which magnitude is M≧ 6.O and epicentral distance from the observatory is less than about 300Km.
Some statistical investigations by a Chree's superposed method show that monthly inequalities of △H's and △Z's between the observatories may attain their extreme values two or three months before the very month of near and larger earth-quakes (Fig,8 and 9).
It is strongly felt to the author through the present investigation that the establishment of dense nets of geomagnetic observations, each station being apart about fifty Km orl ess, in some frequent-occurrence regions of earthquakes as well as in the most infrequent-occurrence regions for reference could contribute more effectively to the fundamental physical investigation of the mechanism of the earthquake-occurrence from the field of geomagnetism.
Kakioka Magnetic Observatory
Geomagnetic Indices K and C for 1960 at Kakioka
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 10, No. 2, pp. 119-121, March, 1962