Sano, Y.
Morphological Studies on Sudden Commencements of Magnetic Storms Using Rapid-run Magnetograms (Including Studies on Sudden Impulses) ( II )
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 11, No. 1, pp. 1-52, March, 1963
要旨
地磁気早廻し記録に基ずく SSC 水平擾乱ヴェクトルの調査の結果,高緯度地方における理想化された6つのヴェクトル変化の型を示し,それにもとずいて同地方の SSC 現象の新しい分類を行なった。各分類された SSC の出現比が求められ,特にそのうち三つの型に出現が集中することがわかり,これと全く対称的な他の三つの型のものは非常に希れにしか出現しないことがわかった(第2節参照)。再にこれらの型の SSC 出現の地方時による依存性も明きらかになった(第4節参照)。中低緯度地方における SSC についても同様の方法により調査を行ない,高緯度地方との形態及び出現様相における相違点を2,3指摘した(第2,4節参照)。
一方,一般的に SSC 現象と類似性を持つと考えられている Si 現象についても全く同様の方法により同様の事項について調査を行ない,その類似性と相違点もある程度明白にした。即ち,中低緯度におけるH- 成分が増加を示す所謂+Si に対応する高緯度地方の急変化は全く SSC のそれと同様の形態を持つことが,不十分な資料からではあるが,明らかになった。これと反対に,H- 成分が中低緯度地方で減少を示す所謂−Si の場合の高緯度地方における対応する急変化は全く対称的な形態を示すことがわかった。(第3,5節参照)
これ等の SSC 及び Si(+Si及び−Si)現象の形態学上の調査結果にもとずき,これ等三つの現象は同質,つまり太陽から放出された微粒子流と地球磁場の相互作用によって起される地磁気現象に属するものであると結論した(第6節参照)。再に最近多くの学者によってなされているこれ等の現象の磁気流体学的解釈に基ずき,現著者もそのような解釈に関するある一つのモデルを示した(第7節参照)。
Yamaguchi, Y.
Geomagnetic Effects Associated with the High-Altitude Nunlear Exctricity (U)
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 11, No. 1, pp. 53-64, March, 1963
要旨
米国の行なった高空核爆発実験は,1958年以来数回に及んでいる,1958年中に行なわれた実験に際しては,日本附近の地球磁場は,極く僅かの影響を認めたに過ぎなかったが,1962年7月9日の実験に際しては,驚くべき大きさに達した。本稿では,柿岡,女満別,鹿屋で観測された地磁気擾乱の概要を述べ,次に汎世界の資料に基き,この擾乱の主要部は,電離層の電気伝導度増大によるものとし,予備的考察をした。
Kondo, G.
The Recent Status of Secular Variation of Atmospheric Electricity (U)
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 11, No. 1, pp. 65-70, March, 1963
要旨
1958年の報告に(T)於て,近年,核爆発の放射性降下物によって大気電場が変化したことを述べたが,I.G.Y.以後,電気伝導度の観測が連続して行なわれたので報告する。a)大気電湯と伝導度は放射性降下物の強度と関連ある変化をしている。b)大気伝導電流の変化は放射性降下物の強度変化とは関係がない。c)放射性降下物の大気電場に及ぼす影響は約2ケ年でなくなると思われる。以上のことが定性的にわかった
吉松隆三郎
地磁気常時観測結果と地震(U)−△Z/△Hの変化−
地磁気観測所要報, 第11巻, 第1号, pp. 71-84, 1963年3月
要旨
前報告では地磁気絶対値の月平均値について柿岡,女満別,鹿屋の各2点間の局所的と思われる差異を求める解折をやって,どうも浅い地震(M≧6.0,△≦330km)の前,1〜3ヶ月特に2〜3ヶ月の値が他の月よりも異常であることを短期間の調査であるが指摘した。
この第2報では少し考える対象を変えて,短過期変化(継続時間数分〜数十分程度)についての最大変化量△Z,△Hを多くの変化から吟味して求め,その月平均値ΔZ/ΔHについて,柿岡(期間1959−1960),鹿屋(1960−1961)の両地で地震(M≧5.5,△≦330km)との関係を調べた。
その結果は本文第5節の結果の要約と問題点のところに列挙してあるが,特に面白いと思うことは,大部分の地震の起った月の前1〜2ヶ月のΔZ/ΔHがこの曲線の谷となっており,しかもこの谷の値と地震の規模Mとの間には両地点とも,ほぼ直線的関係がみられ,その直線の傾斜も大体等しいということである。若しこれが確実とすると一見地震の起ったときはもう地磁気(地中電気伝導度)には地震の影響は大部分消え去っている場合が多いことになる。
今後のことについて少し述べた。
Kakioka Magnetic Observatory
Geomagnetic Indices K and C for 1961 at Kakioka
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 11, No. 1, pp. 85-87, March, 1963