Yanagihara, K.
Burst-like Occurrence of the Schumann Resonance
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 13, No. 1, pp. 1-10, September, 1968
要旨
シューマン共振振動は連続した波のように見えるけれども,ソナグラムの微細構造を調べるとちりぢりになって点々状に分離している。すなわち点々の一つ一つがパースト状出現をあらわす。そしてその点々の示す周波数は4Hz程度に分散している。この原因が雷放電の多重雷撃にあると考えて検討した。
Gondo, G.
The Variation of the Atmospheric Electric Field at the time of Earthquake
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 13, No. 1, pp. 11-24, September, 1968
要旨
松代地震に伴なう発光現象解明の一手段として,大気電場の観測を行った。この観測期間中に発光現象の報告はなく,資料を地震との関連において整理したので報告する。結果として(1)松代においては,地震活度が盛んなときほど,地震に伴なって電場が減少する場合が多い。(2)柿岡と筑波山頂での観測では,地震と対応するような変化はとくにみられなかった。これらのことは地下の構造によって地下のラドンガスが地震によって地上へ放出されると,仮定すれば説明出来る。
安井豊
地震に伴う発光現象に関する調査報告(第1報)
地磁気観測所要報, 第13巻, 第1号, pp. 25-62, 1968年9月
要旨
大分昔から和洋を通じて大地震に伴って発光現象が生じたという報告があり,故武者金吉氏およびGalliらがそれらを検討して,それらの光りものの少なくとも一部は地震に伴ったものと認定した。しかしそれらの報告は単なる記事であり,それにスケッチが付いているものもあるという程度であった。
しかるに昭和40年夏より42年春までのいわゆる松代群発地震にも多くの発光現象が伴ったことが報告され,松代のアマチュア写真家栗林亨氏によって数十枚の写真が撮影され,ここに初めて発光現象が客観的に紹介されうるにいたった。
著者はこれらの報告を検討し,その真偽を判別するとともに地磁気変化計・空中電位計を設置してその発光機構の探求に志した。
この報告はそれら各発光現象の報告の大要集である。
一方発光棟構の理論については故寺田寅彦氏・清水武雄氏の仮説があったが,ともに今回の現象は説明できないことが明らかになった。松代に設置した空中電位計の記録は発光現象が空中電気現象であることを示しているようである。この発生機構についてはさらに研究を重ねて次号で報告したい
久保木忠夫
日本付近の地磁気経緯度を求める早見表
地磁気観測所要報, 第13巻, 第1号, pp. 63-107, 1968年9月
要旨
最近地球内部の構造を調べるため,臨時の地磁気観測所が多くつくられた。このため観測所の地磁気経緯度を計算する機会が多い。この計算式は簡単なものであるが,無味乾燥で,計算に誤りをおかしやすく,計算に要する時間も短くない。
このためきわめて簡単に求められる便利な早見表を作成した。この表の使用法はきわめて容易で,地磁気経度Λ・緯度Φ・計算上の偏角Ψを求めるのに要する時間はわずか数分であり,求めた値の誤差は約±0.6′できわめて正確である。
早見表は15組の表で構成されている。原点の北地磁気極の経緯度を291.0°E,78.5°Nとして,地理的経緯度1°毎のΛ・Φ・Ψの主値に,′の補正値を2個づつ加算するだけで暗算でも求められる。もし原点をずれた値にしたいときは,それにさらに2個の補正値を加えれはよい。このほかに度分換算表,比例捜入表がある。
この早見表は三角関数を用いる計算式とは異なって,単なる加算だけで求めるものであるから誤り計算をすることが全くない。
また現在使用されている日本の各観測所の地磁気経緯度の値を示し,その2,3の問題点を述べた。また誤差に関する計算についても少しふれた。