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第14巻 第1号 (1971年)



Yanagihara, K.

Geomagnetic Variations near Focus of Sq Current Vortex

Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 14, No. 1, pp. 1-8, March, 1971


要旨

 等価電流系中心附近の地磁気日変化を詳しく調べてみると,従来のダイナモ理論による2次元電流系では説明困難な部分がでてくる。すなわち電流系中心から発散又は収束する電流系である。電流の連続からただちにダイナモ層外に流出入する電流の存在が想像される。一方夏冬では南北両半球の日変化電流系の強さが違うとするなら,形成された静電場の強さも当然違うであろう。だとすると磁気圏内の磁力線沿いの電気伝導度が極めて良いことを考えると磁気共やく点間に強大な電流が流れる筈である。実際にはその電流が運んだ電荷のつくる静電場が磁気圏電流を阻止するように働いて,平衡状態では合理的な大きさにとどめられる。このとき磁気圏電流は電離層内の附加静電場によるペダーセン電流に接続して電流の連続が保たれる。これが発散又は収束電流として観測されるのであろう。




Yamaguchi, Y.

Some Statistical Properties of ssc Storm at Kakioka

Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 14, No. 1, pp. 9-18, March, 1971


要旨

 IGY以降の資料をもちい,ssc 振幅,ライズタイム,磁気嵐の最大Kインデクス,較差の柿岡における頻度分布を調査し,平均値を求めた。1924〜1951の資料をもちいた結果と多少異なる点があるが,その原因を明らかにするにはより詳細な調査が必要である。又通常の磁気嵐資料に読取られている諸量間の統計的関係を,女満別,柿岡,鹿屋について調査した。急始の大きさが大きい程,統計的には,磁気嵐の較差も大きくなる。急始の大きさとライズタイムの関係は,他の研究者が低緯度地方および高緯度地方で求めた関係と相違し,この関係が緯度によって著しく異なることを示した。




佐野幸三

光ポンピング磁力計による成分磁場測定法ならびに補償磁場に関係する誤差および安定度

地磁気観測所要報, 第14巻, 第1号, pp. 19-38, 1971年3月


要旨

 光ボンビング磁力計を用いた成分磁場測定法ならびに測定誤差および安定度,特に偏角観測の場合について詳細に考察した結果について議論する。光ポンピング磁力計による直接の高精度偏角測定法は現在の技術では不可能で,実用上採用しうる同測定法は水平成分Hと水平面内適当な方向のHの分カを同時測定し,合成するという複雑な方法でなければならない。なお,地球磁場の3成分として,水平成分,鉛直成分および偏角を取るという立場に立って考察を進めた。
 観測精度,誤差の考察の結果によれば,観測精度を0.1γまたは0.01′〜0.02′にするためには補償磁場の0.5"以内という非常に高い方向の安定度が要求される。補償磁場の方向の変化(特に被測定磁場方向への)に起因する誤差は最も大きく安定度に影響するが,この誤差をうえの精度以内にすることは不可能に近いことである。一方,補償磁場の大きさの補償精度は各磁力計で少々差があるが,最もシビアな偏角磁力計の場合20γ〜30γの精度が必要である。これは技術的にそれほど困難なものではない。偏角の観測精度は測定系が複雑になることもあって,他の水平成分,鉛直成分の観測精度よりも劣る。なお,本論文で議論する観測精度,誤差には光ポンピング磁力計そのものの精度,誤差は含ませていない。この問題については別の機会に述べる。




来栖喜久男

IGY(1957年7月〜1958年)〜1968年の地磁気嵐とsscのQualityについて

地磁気観測所要報, 第14巻, 第1号, pp. 39-66, 1971年3月


要旨

 IGY以来地磁気短周期変化についてはIAGAのコペンハーゲン決議にしたがい各の現象にそのQualityを示す,A,BおよびCの記号をつけて報告することが義務づけられている。
 その一つsscについて各Qualityを量的に決定することを目的に1957年7月〜1968年に柿岡,女満別および鹿屋で観測された地磁気嵐(Geomagnetic Storm)について調査し次の結果をえた。日本の3観測所で位置する中・低緯度地帯では
(1)SC StormにおけるSC AmplitudeとStorm Rangeの間には正の相関が認められる。
(2)SC StormにおけるSC Amplitudeは,SCがL.T.06〜10時頃発生した時,偏角の振巾が水平分力より大きくそれらは全体の約9%観測された。Storm Ramgeについては偏角が水平分力より大きくなる場合が全体の約30%観測された。
(3)地磁気静穏日変化Sqの日較差は太陽活動とほぼ平行して変化し一般に偏角が水平分カより大きい。その変化量は太陽黒点極大期の春秋季と黒点極小期の冬季では偏角で約70γの差がある。
 これらの関係からsscととるためのStorm Rangeの下限を約40γとしそれ以下のときは急始変化をsscでなくsi現象ととる。Quality判定には地磁気水平分力および偏角のいずれか変化量の大きい方を使う。このように決め変化量の大きい日較差は,各Qualityの量的な領域のうちStorm Ramgeの範囲を加減してQuality判定上不都合をきたさぬようにした。
 以上から3観測所におのおの適用するssc Quality判定用チャートを作り良い結果がえられた。




安井豊

地震に伴う発光現象に関する調査報告(第2報)

地磁気観測所要報, 第14巻, 第1号, pp. 67-78, 1971年3月


要旨

 古来地震に発光現象が伴うことがしばしばあると言われており,著者は本要報で昨年第一部を報告し,古来よりの事例と諸学説の大要ならびに昭和40年より42年にかけて松代で群発地震に伴って多数現われた発光例を詳細に報告した。
 それによればこの発光貌象は特定地帯の山頂付近の接地ないし低層太気内の現象で有り,かつ地震に随伴し,不連続線通過時前后で風の弱い時に多いことがわかった。
 松代に回転集電気を設置して測定した結果発震に際し異常な電位低下すなわち下層大気内の電気伝導度の増加があることが判明し,地質学的地見および諸氏の実測から上記特定地帯ではこの電位低下すなわち電気伝導度の増加程度はさらに大きいものと推定される。
 また山項付近は地形上空中電位傾度がもっとも大きかるべき所である。
 著者は以上の諸点を勘案して,地震に伴う発光現象は接地ないし低層太気内の空中電気現象,例えば巨大なるPoint dischargeであろうと思うが,その機構についてはまだ説明しえないことが残念である。特に常温常圧の大気内でいかにしてメートルあたり数千ボルトの電位差をもって発光現象が生じうるかが不可解である。あるいは地震に伴う空振によって生ずるのではあるまいか?




柳原一夫

関東地方における浅層電流が磁場変化分布におよぼす影響

地磁気観測所要報, 第14巻, 第1号, pp. 79-87, 1971年3月


要旨

 関東地方で測定されている地磁気地電流変化の分布を集約してみると少なくとも東部では大体南北に規則的な変化をしているようである。一方堆積層の分布も極めて類似しているので,この層内を流れる地電流のつくる磁場を計算してみると測定した磁場変化分布と極めてよく一致する。堆積層内電流のつくる磁場はそれがない所の磁場変化量の5O%にも達する。




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