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第15巻 第1号 (1972年)



Yanagihara, K.

Secular Variation of the Electrical Conductivity Anomaly in the Central Part of Japan

Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 15, No. 1, pp. 1-12, December, 1972


要旨

 ある一つの観測点における短周期地磁気変化のベクトルは一般的に一つの面にのっている。この面の地域分布あるいは変化周期に対する依存性などは相当多く研究されているが,時間的変化については殆んど調べられていない。この論文では東京(1897-1912)と柿岡(1913- )の観測を使って長い期間の経年変化を求めた。その結実30%にも達する案外大きな変化のあることがわかった。これは観測誤差によるものとは考えられない。面の傾斜が最小になる時期は関東大地震(1923)と一致し,それまで減少してきていたものが地震後比較的急激に増加して10年位後に最大となってその後除々に減少している。この減少の傾向がそのまま持続するとすれば関東大地震から100年後にまた同じ極小値に到達する。また現在の値はすでに観測初期の値に達しているのでその後が初期と同様の経過をたどるとすれば70年後となる。これらのことは70-100年位の周期的変化を予想させる。プレートテクトニックスの観点から説明されるものかもしれない。




Yanagihara, K.

Increase of Horizontal Force caused before Commencement of Geomagnetic Storm

Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 15, No. 1, pp. 13-18, December, 1972


要旨

 急始磁気嵐はSSCという開始時をきめるものがあるが,SSCの認められない緩始磁気嵐は開始時のとり方があいまいになりがちである。杉浦の発表している赤道 Dst をみると綬始磁気嵐の目立つ一つの特徴として,水平分力の急減少が認められる。この急減少の始まる時刻は1時間以内の正確さで実際上きめることができるので,この時刻を磁気嵐時間の原点にとることとした。こうして15の緩始磁気嵐の平均 Dst を求めると,その時間原点以後はいわゆる磁気嵐の主相,終相がはっきり認められ急始磁気嵐と何等変る所がない。時間原点以前はやく1日間ぐらいの間ゆっくりした水平分力増大がみとめられる。これもいわゆる初相に相等するものといえるが,時間の長いことと,ゆっくり増大する点は急始磁気嵐と多少異なっている。
 一万急始磁気嵐についても杉浦の Dst を詳しくみると,このような水平分力のゆっくりした増大がSSC以前にみられる例が数多くみとめられる。SSCのあるなしにかかわらず主相発達以前にやく1日がかりの水平分力漸増期間があることが一つの地磁気変化活動期初期の特徴でないかと思われる。




Shiraki, M.

Geomagnetic Solar Daily Variations at the Middle Latitude and the Day-to-day Variability of Equivalent Overhead Current System

Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 15, No. 1, pp. 19-30, December, 1972


要旨

 IASY協同観測の一環として父島(27°06′N,142°11′E;磁気緯度17.1°N)において地球磁場変動の連続観測が行なわれた。この機会に日本の観測点の地磁気日変化を見なおした。そして,汎世界的な日変化の中緯度の特徴と共にいくつかの問題点が挙げられた。
 また,Sqを求める際に用いた個々の日の水平成分および偏角の日変化の違いを調べた。これから,同じ季節でも等価電流系の中心緯度と強さに大きな変化が見られることがわかった。




Kuwashima, M.

Long Period Geomagnetic Pulsations Associated with Storm Sudden Commencements(Psc5) ( I ) Morphological Study

Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 15, No. 1, pp. 31-46, December, 1972


要旨

 SCに伴って発生する周期が数分の長周期地磁気脈動(Psc5)について,IGYの期間の地磁気早世し記録を用いて解析を行った。その結果次のことが明らかになった。
1.Psc5の存続時間あるいはPsc5の発生頻度の地方時依存性は,Psc5と同じ周期帯にあるPc5のそれと異る傾向を示す。
2.Psc5は汎世界的に,同時にしかも一様性をもって出現する。一様性は特に極光帯に沿って顕著である。
3.Psc5が最も発生しやすい領域は極光帯近傍にある。その領域は昼側では極光帯よりも高緯度側に,また午後側から夜側にかけては低緯度側に拡っていく。
 これらの結果について簡単な議論を加える。




永井正男, 永野哲郎

霧島火山周辺における磁気測量

地磁気観測所要報, 第15巻, 第1号, pp. 47-62, 1972年12月


要旨

 過去の事実によると,加久藤カルデラ内に発生した群発性の地震は終息後,霧島火山群中の新燃岳附近にきわめて浅い小地震を群発させ,あるいは霧島火山群の東南端の高千穂御鉢火口に噴火をおこす場合が多い。
 今回の“えびの群発地震”のあとにも,1968年3月7,8日に新燃岳附近に浅い地震が群発し間もなく終息したが,地震活動はさらに東南へ移行して1969年3月には中岳に地震が群発し,火山性の脈動も発生した。その後10月にはさらに中岳より高千穂峰の方向へ移行し,12月になって御鉢火口附近に集中して発生した。
 ここでは,これら群発地震あるいは火山活動と地磁気変化との間にどのような関連が見られるかを調査するため,“えびの群発地震”最盛期の1968年3月16~27目とその影響のなくなった1971年10月27~28日の2回にわたって,霧島火山周辺において伏角の測定を行なった。
 その結果,高千穂峰御鉢火口附近に誘発された火山性地震の原因と考えられるマグマの上昇が,噴火にまでは到らなかったが,附近の測点に1~2′の伏角変化をもたらしたことをたしかめた。




久保木忠夫

日本における地磁気変化ベクトルの異常について(第五報)-日本東部の平機・磐城などの変化ベクトル-

地磁気観測所要報, 第15巻, 第1号, pp. 63-80, 1972年12月


要旨

 地磁気短周期変化の変化ベクトルが非常に局地性のあることは多くの研究者により明らかにされつつある。この報告では日本東部の海岸の平磯・磐城の2つの観測所の変化ベクトルを求め,合わせてその付近のすでに報告されているいくつかの観測所の資料を検討した。
 関東地方の変化ベクトルはごくわずか西よりで殆んど北向きである。しかし平磯・磐城・小名浜・浪江と北の観測所ほど西よりになっている。そしていづれの地点も Duration が1~3分くらいの急変化現象に対して周期に対する変化ベクトルの変わり方が大きい。
 また日本東部の海岸にあるいくつかの観測所の変化ベクトルの大きさは柿岡と同じ程度にいづれも大きい。




安井豊

サンタローザにおける地震発光現象

地磁気観測所要報, 第15巻, 第1号, pp. 81-86, 1972年12月


要旨

 筆者は前に松代群発地震に際して現われた発光現象を主題にした報告を発表したが,.今般カリフォルニヤ科学アカデミーのL.E.Salanova氏より1969年10月1日にカリフォルニヤ州サンタローザで地震に際して現われた発光現象の報告を受けたのでここに抄訳させていただくとともに著者の見解を述べる。




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