Mori, T.
Conductivity Anomalies in the Eastern Part of Hokkaido, Japan
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 16, No. 2, pp. 79-94, December, 1975
要旨
1970年から1974年にかけて北海道東部で行った地磁気,地電流の観測結果を整理し,堆積層の効果について考察した。1973年までの観測結果の一部はすでに報告しているが,北海道東部およぴオホーツク海岸に沿ったパ−キンソンベクトルの分布がほぼ明らかになった。女満別における地磁気変化の水平ベクトルと他の地点とのそれを比較した結果堆積層の厚いと思われる根釧原野の観測点と女満別との間に,地磁気変化の方向によって振巾比及び変化方向が大きく変ることが確かめられた。地磁気変化の方向によって振幅比及び変化方向が異なる事は堆積層の存在によりほぼ説明できるが女満別での水平ベクトルの変叱が平均して他の地点よりも大きい事に関しては他の原因を考えなくてはならない。
Kuwashima, M.
Some Characters of Substorm-Associated Geomagnetic Phenomena in the Southern Polar Region ( 1 )
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 16, No. 2, pp. 95-110, December, 1975
要旨
1973年9月に南極の昭和墓地と内陸みずほ前進基地で同年12月に昭和基地と内陸大和山脈 E.F.G郡中間点で,地磁気 H,D,Z 3成分および磁気脈動 X,Y 2成分の連続同時観測が行なわれた。昭和基地と内陸基地とは数100kmしか離れていないにもかかわらず,地磁気活動が高くなると両観測点で地磁気現象の出現に大きな違いがみられた。
これらの事象に関する2〜3の結果を報告し,考察を加える。
白木正規
地磁気日変化等価竜流系の日日の変動とIMFセクター構造などの関連について
地磁気観測所要報, 第16巻, 第2号, pp. 111-120, 1975年12月
要旨
先の論文で推定された,西太平洋域の地磁気日変化等価電流系の中心緯度(φf)と電流系の強さ(γp)の日々の変動が,太陽活動に関連したパラメータや電離層のパラメータと相関があるかどうか調べた。相関係数を計算し,有意性の検定を行った結果,φfは,惑星空間磁場(IMF)のセクター構造や,上部電離層(F2層)の臨界周波数(foF2)と相関がみられる。IMFセクター構造がAway構造の場合,φfは北(極)の方へ移動し,Toward構造の場合φfは南(赤道)の方へ移動する。また,foF2とφfは冬と夏で逆の相関がみられ,冬の季節には,foF2の増大の場合にφfは北へ移動し,減少の場合にφfは南へ移動する。夏の季節には,foF2の増大の場合にφfは南へ移動し,減少の場合に北へ移動する。
ダイナミックパワースペクトルによる比較でも,φfはIMFセクター構造やfoF2と似たようなスペクトル構造を示しており,これらのパラメータとの関連を支持している。
佐野幸三
KASMMERシステム地磁気観測精度について
地磁気観測所要報, 第16巻, 第2号, pp. 121-142, 1975年12月
要旨
1973年9月〜1975年4月の期間のKASMMERシステムによる地磁気標準観測結果について,光ボンピング磁力計の安定度および絶対観測精度を主体として報告する。
補償磁場を必要としない全磁力用光ボンピング磁力計の安定度は,約0.5γ/yearで非常に高く満足のいく結果を示している。補償磁場を持つ他の成分光ボンピング磁力計についても,平均的に評価して1.5γ〜2.0γ/yearの高い安定度を示している。
個々の絶対観測値のバラッキを分析した結果,それらの標準偏差はD-成分で0.0328′,I-成分では0.0200′という結果をえた。このことより評価して各成分光ボンピング磁力計の絶対値較正精変は0.1γまたほ0.01′よりも良いと考えられる。
白木正規, 柳原一夫
柿岡の変換函数
地磁気観測所要報, 第16巻, 第2号, pp. 143-155, 1975年12月
要旨
地磁気短周期変化僣,僖および兒の間には,近似的に,
兒=A僣+B僖
という関係が成立つことが知られている。このAおよびBは周波紋の函数で変換函数と呼ばれる。この論文では,1969年〜1970年に15個の磁気嵐を選んで,Everett and Hyndman(1967)によって開発された,パワースペクトル解析を用いる方法によって,柿岡の変換函数を15〜120分の周期にわたって求めた。そして,得られた結果と,従来の方法で求められているAおよぴBとの比較を行なった。さらに,変換函数の信頼性についても述べる。