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第19巻 第2号 (1982年)



今道周一

日本付近の偏角の経年変化について(T)

地磁気観測所要報, 第19巻, 第2号, pp. 1-10, 1982年3月


要旨

 (1)1600年,1700年代における日本附近の等偏角線を,当時船舶によって,日本沿岸で測定された資栴で信頼できるものを用いて求めた。
 (2)南極地帯では全磁力極大の所は南磁極にきわめて近いところにあるので,等偏角線は規則正しく分布している。然るに,北極地帯では北磁極(N・P)と全磁力極大の所(M・P)とは,地理学的北極に対して,互に反対側にある。磁気的特殊点のこのような分布のために,東シベリヤから日本にかけて,等偏角線は卵形となっている。M・Pの磁力がN・Pのそれに対し,相対的に大となると,偏角は西偏となって,卵形の中心は東経130°に沿って北上する。これに反し,M・Pの強さがN・Pの強さより弱くなるにつれて,偏角は東偏となり,卵形の中心は東経130°に沿って南方に移動する




Sano, Y.

Time Change of Transfer Functions at Kakioka Related to Earthquake Occurrences ( III ) -Periodic Changes of Transfer Functions and Other Related Phenomena-

Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 19, No. 2, pp. 11-32, March, 1982


要旨

 柿岡における変換関数の各種の周期的変化を,周辺の地震発生および地磁気活動度のそれらと関連させて,フーリエ解析法および重ね合せ統計法により解析した。今回の解析での主な結果は次のとおりである。
 1977年3月より1978年12月までの期間の資料を解析する限り,周期60分より長い周期の変換関数と柿岡周辺の地震発生に,比較的顕著な27日周期変化が見出された。一方,これよりも短周期の変換関数にはあまり顕著な周期的変化はなく.また地磁気活動度は29日周期変化が顕著であった。この長周期変換関数の27日周期変化の振幅は例外的に大きく,また後述の地震発生との相開から期待される変換閑数の変化より約2倍大きいことより,これは地震前兆現象的効果以外の何かの原因により変化振幅が増大されているものと考えられる。むろん,地磁気活動度依存効果でも全く説明できない。このように,柿岡の長周期変換関数には現在のところ原因はよくわからないが,地球のかなり深部にソースを持つと考えられる27日周期変化が存在するらしいことがわかった。それらはまた地震発生とにも何らかの関係があるかも知れない。
 ところで,今回解析した変換関数および地震発生の26日〜30日周期変化の各振幅,さらに前論文(PartU)で統計的に求められた変換関数の地震前兆現象的変化に対するそれらとを総合して,両者の振幅にはかなりの相関がある(但し,前述の27日周期変化は除く)。地磁気活動度変化の振幅とこれらとにはほとんど相関はない。これらの事実より,前述の27日周期変化を除き,今回求められた変換関数の周期的変化は主に地震前兆現象的変化であると思われる(変挽関数の地震前兆現象的変化の再検出および再確認)。




Sano, Y., Nakajima, S.

Secular and Seasonal Variations of Transfer Functions at Kakioka from Mar. 1977 to Apr. 1981

Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 19, No. 2, pp. 33-52, March, 1982


要旨

 1977年3月から1981年4月までの50ヶ月間の柿岡における各種の変換関数および地磁気活動度について,それらの経年および季節変化を解析した。この解析には変換関数およびK-指数日合計のそれぞれの月平均値を用いた。
 変換関数の経年変化ほ,その種類(Au,Bu,Av,Bv)および周期(10,20,30,60,90,120,1800分)によりいろいろな形態を示している。概して,Au変換関数は減少,同Buは増加の傾向を示しており、他のものは一部を除き顕著な直線的経年変化はあまりないようである。これらの経年変化は一般に直線的変化というよりは,むしろYanagihara and Nagano(1976)が周期数分の変換関数に対して見出した約6年周期変化と同様な変化を想定させる正弦的曲線変化とみなした方がよさそうである。それらのあるものは柿岡の地磁気活動度の経年変化と類似したところもあるが,各変換関数により,また周期により位相がかなり相違している点もあり,それらの関係については確実なところはわからない。今回は残念ながら地震データの解析は行なっておらず,これらの変換関数と地震との関係についてもなんともいえない。
 変換関数の季節変化については,一般に夏期に極大,冬期に極小を持つような年周変化が卓越している。この特性はAv変換関数で最っとも明瞭にして顕著である。他の変換関数についても,Avほど明瞭ではなく,いろいろの多様性があるが,概略においてに似た年周変化を示している。中には夏・冬に極大,春・秋に極小を持つような半年周期が卓越している場合もある。特にBu変換関数は比較的この半年周期変化が卓越している。この半年周期変化はかなり地磁気活動度のそれと相関が良いようである




佐野幸三, 仲谷清, 栗原忠雄, 中島新三郎

女満別・いわき・柿岡・鹿屋におけるCA-変換関数の同時比較について(T)

地磁気観測所要報, 第19巻, 第2号, pp. 53-68, 1982年3月


要旨

 CA-変換関数の時間変化を議論する場合,それらが内部要因によるものか,外部要因によるものか,また,単なる誤差によるものか,常に問題となる。この問題解明のためには,多点におけるCA-変換関数の同時比較が必要である。その第一段階として,日本列島の北端,南端およびほぼ中央付近に位置する女満別・鹿屋および柿岡・いわき4地点におけるそれらの同時比較を試験的に行なった。今回ほ周期90分のものを主体にした解析結果を報告する。
 4地点のCA-変換関数はかなり高い相関のある時間変化を示すという結果が得られた。当然のことながら,距離的に近い柿岡・いわき間の相関が最も高く,最も遠い女満別・鹿屋間で最も低くなっている。時間変化の大きさについては,いわき・鹿屋・柿岡間では平均的にみてあまり有意な差はないが,列記の順で大きく,女満別は明らかにこれら3地点よりも小さい(特にAu変換関数)。今回の結果は短期間の比較で,あまり決定的なことは結論できないが,CA-変換関数の時間変化に関して多くの問題が提起される。




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