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第20巻 第2号 (1984年)



Sano, Y., Saito, T.

Secular and Solar Cycle Variations of Geomagnetic Storm Occurrences at Kakioka

Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 20, No. 2, pp. 1-24, March, 1984


要旨

 磁気嵐の出現特性については,古くからいろいろと解析されてきたが,今回筆者らは1924〜1981年までの資料を用いて,その経年変化・太陽周期依存性を統計的に詳細に調査したので報告する。主な結果ほ次のとおりである。
1)急始磁気嵐(SSC)は,太陽磁場極性による出現非対称性を示す。磁気嵐の出現数を太陽黒点数の函数としてみた場合,大規模磁気嵐は太陽磁場がS極性期間により多く,小規模なものはN極性期間により多く出現する。特に巨大磁気嵐(SC振幅>100nT,変化較差>500nT)はS極性期間のみに出現している。
2)急始磁気嵐出現数と太陽黒点数は一般に高い相関を示すが,近年の21サイクルではこの関係がかなり乱れている。
3)緩始磁気嵐(Sg)は太陽黒点減少期後期に多発するが,太陽磁場のN,S極性期間に,ピーク出現年に約1年程度の差がありそうである。また,太陽黒点増加期にも,小さい2次的な出現数のピークがありそうである(特にN極性期)。
4)緩始磁気嵐も太陽黒点数(活動度)依存捜が認められるが,19サイクル(今世紀太陽活動度最大)期にはこの関係が乱れ緩始磁気嵐の出現が急減している。
5)その他,1956年よりSC*の出現数および出現率が急増していることが特筆される。




永井正男

南北両半球における地磁気活動度の季節変化

地磁気観測所要報, 第20巻, 第2号, pp. 25-32, 1984年3月


要旨

 地磁気活動度の季節変化は南北両半球において大きな差がある。1959〜79年のAnおよびAs indexを使って解析した結果,南北両半球の差An−Asは北半球の夏で大きく,冬で小さい明繚な季節変化があることを見出した。この季節変化はAU index の季節変化と極めてよい相関があり,極磁気嵐の発達と関連があることがわかった。
 ここではこの他,太陽風との関連ならびにIMSにおける東西成分Byとの関連等について報告する。




徳本哲男, 角村悟

直流電車による磁場擾乱

地磁気観測所要報, 第20巻, 第2号, pp. 33-44, 1984年3月


要旨

 自然磁場の測定を困難にしている直流電車の漏洩電流による人工擾乱磁場について従来の計算法を改良発展させ,広範囲の状況設定に対しても厳密な解を得ることができるようになった。その結果,新しい計算法による擾乱磁場は,オーダーは従来の計算法によるものと同程度だが数値ほ小さく見積もられることがわかった。




今道周一

日本附近の偏角の経年変化について(U)

地磁気観測所要報, 第20巻, 第2号, pp. 45-54, 1984年3月


要旨

 北半球は南半球より等偏角線の分布が複雑である。これは北半球には緯度は殆んど同じであるが,経度が約対称の位置に二つの極大σとυがあるためである。これによって,等Y成分(東西方向の成分)が4個の閉曲線として出現する。このY成分と]成分との組合せが等偏角線となるが,それが閉曲線となるのは東シベリヤから日本にかけての円形に近い等Y成分のみである。この卵形等偏角線の中心は,これに関与した円形等Y成分の中心より常に北方にあり,西偏の増加と共に北上することを証した。
 尚,北磁極および北米極大υの強さは,近年殆んど変らないか,あるいは,僅かに減少しているようであるが,シべリヤ極大σ地域の強さは増大していて,このため日本附近の西偏の増加となっている。




今道周一

伊能忠敬時代の日本付近における地磁気偏角について

地磁気観測所要報, 第20巻, 第2号, pp. 55-60, 1984年3月


要旨

 伊能忠敬時代の日本付近の地磁気偏角は,ほぼ0度に近かったと言われているが,まだ当時の偏角の正確なものは発表されていないようである。保柳氏はこれについての考察を発表しているが偏角図は近年のものを用いているので比較に適当でなかったようである。
 筆者に忠敬の測量年代に近い H.Fritsche の1780年および1842年の等偏角線図とGauss-Weberの1830年の等偏角線図とを検討して伊能忠敬が測量を始めた1800年の偏角図を作製してみた。




吉松隆三郎

昭和19年12月7日東南海地震と柿岡の地電位差の異常変化

地磁気観測所要報, 第20巻, 第2号, pp. 61-64, 1984年3月


要旨

 規模の大きい地震の前後のDの変化はしばしば報告したが,第1図(A)でも同様で,地震前約一日の6日14時頃から初まる単調な減少変化は地震直後に最低値になっている。恐らく地震直前後がゆるい最低になっているであろう。1日〜4日の間のDはほぼ一定で,これから最低値までの較差は約11mV/km。これは従来筆者の報告した同様なDの変化量のうちで最大のものである。この変化の初まる前に小さな減少部分があるが,両者一連のものかわからない。
 地震後はこの変化は最初の一定値よりやや小さい値に徐々に快復している。(第2図)

 第1図(B)の100米基線は他の目的で,第1図(A)の100米基線と同じ場所にそれよりもっと浅いところに,異った型の電極を埋めて作ったものである。時間経過が短く測点のばらつきはずっと大きいが平均曲線は第1図(A)とほば一致していることは注目される。




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