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第23巻 第2号 (1990年)



山田雄二, 竹田雅彦, 荒木徹

北向き惑星間磁場に伴う極域沿磁力線電流

地磁気観測所要報, 第23巻, 第2号, pp. 39-52, 1990年2月


要旨

惑星間磁場が継続的に北向きとなっていた1980年5月10日から11目にかけての極軌道人工衝星MAGSATの磁場データから,新しい方法を使って定量的に極域沿磁力線電流分布を求めた.その結果リージョン1電流の高緯度側にそれと逆向きの一対の沿磁力線電流があり,その密度はり一ジョン1電流の2倍強の約2μA/m2,電流強度は約600〜800kAであった.またこの電流によって生じる電離層電位差は約30kVと見積られた.この電位差を惑星間電場によると考えると磁気圏界面での電場侵入の東西スケールはおよそ地球半径程度と考えられる.




Fujita, S.

Monitoring of Time Changes of Conductivity Anomaly Transfer Functionss at Japanese Magnetic Observatory Network

Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 23, No. 2, pp. 53-87, February, 1990


要旨

 女満別,柿岡,松崎,御前崎,鹿屋で構成される地磁気観測所網における電気伝導度異常変換関数の時間変化を調べた.解析には地磁気毎分値を使用し,パワースペクトル法により120,60,30,10分周期の変換関数の計算を行った.さらに各日の変換関数に対する誤差を計算し,決定精度の良い物のみを経年変化の解析に使用した.柿剛こ対しては1976−1988年,松崎は1981-1988年,女満別は1984−1988年,鹿屋と御前崎は1985−1988年のデータを用いて時間変化率を計算した結果,以下のようなことがわかった.
 1)柿岡の10分周期Auは30年につき0.05程度の割合で減少している.この傾向はYanagihara and Nagano(1976)の結果と比較してやや小さいが,基本的には一致している.
 2)女満別・鹿屋の10分周期のAuは柿岡と対照的に増加している.
 3)松崎と御前崎の10分周期のAuは顕著な減少傾向を示す,その量はYanagihara and Nagano(1976)の解析による関東地震の前に柿岡で観測された変換関数の変化量に匹敵する.但しこの結果は松崎と御前崎のデータが特に短周期側で電車等による擾乱の影響を受けているために,他の東海地域の地点のデータを解析する等,さらに詳しい調査による確認が必要である.
 ここで行った解析は,擾乱の多い昼間のデータも含む全日のデータを使用していることや,変換関数の各月平均値の分散を考慮していない等まだ改良の余地がある.




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