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小池捷春, 中島新三郎, 清水幸弘
フラックスゲート磁力計の性能−感度及びその較正精度−
地磁気観測所要報, 第24巻, 第1号, pp. 1-14, 1992年12月
要旨
地磁気観測所で地磁気変化観測用測器として使用している、島津製作所製MB-160及びMB-162型フラックスゲート磁力計の性能及び、磁力計に内蔵されている感度測定器を較正するための方法と、その較正装置についての調査を行った結果、以下のことがわかった。 1)地磁気観測所(柿岡)の大型3軸ヘルムホルツコイルを主とした較正装置を、フラックスゲート磁力計内蔵感度測定器の較正装置として用いた場合、約0.1%の精度範囲で較正できる。 2)フラックスゲート磁力計で地磁気変化分を0.1nTの分解能で測定する場合、その測定範囲は±600nTまであり、その間の感度の直線性は良い。 3)フラックスゲート磁力計に内蔵されている感度測定器の出力信号は安定しているので柿岡での感度較正を行っておけば、観測中の感度較正は内蔵感度測定器でも可能である。
Uwai, T., Fukushlma, H., Hashimoto, M.
Experimant of Observation for Declination and Inclination with a Fluxgate-magnetometer-mounted-Theodlite
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 24, No. 1, pp. 15-24, December, 1992
非磁性の経緯儀にフラックスゲート磁力計を取り付け,偏角,伏角を測定する実験をした.初期の経験から,センサーを導体との干渉の小さいものに代える等の改良を加えた.この測器を5ヶ月間固定台に置き,測定をした.光ポンピング磁力計の較正値を作り,柿岡の基準磁気儀の同日の観測と比較した結果,両者の差およびその変動は小さかった.そこで地点差のより明らかな台を用いて両者の同時観測を行った.その結果両測器の差はたいへん小さく,試験器は基準磁気儀とほぼ同等の性能があることが確認できた.
Tsunomura, S., Uwai, T., Yamada, Y., Hasegawa, K., Fukui, F., Toyodome, S., Kuwashima, M.
Characteristics of Geomagnetic Variations Associated with Low Latitude Auroras
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 24, No. 1, pp. 25-38, December, 1988
日本北部で,大きな磁気嵐の際に観測された低緯度オーロラに関連する地磁気変化の特性が,低緯度での地磁気データを元に調べられた。磁気嵐の主相中で,オーロラの強まりに同期して,2種類の型の地磁気変化が観測された。第一種は湾形変化であり,第二種は,広い経度範囲で同時にH成分の増加が見られることから,磁気圏の圧縮によるものらしいと考えられる。第一種はTinsley他(1986)の解析例と同様であるが,第二種は今回新しく見出されたものである。第一種の機構を明らかにするための取り組みとして,地磁気毎秒値を活用して,短周期(約40秒以下)のPi2脈動が発生する際に低エネルギー電子の降下が引き起こされるであろうことを示した。