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Kadokura, S.
Evaluation of Computed K-Indices with Orthogonalized SR Method
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 24, No. 2, pp. 39-52, March, 1992
要旨
K指数を計算するアルゴリズムの一つ,直交化SR法(OSM)のテストを行なった。テスト方法は,IUGG/IAGAの打ち合わせでの取り決めにしたがい,世界各地7覿測点(Memambetsu,Hermanus,Crozet,Kerguelen,Nurmijarvi,Ottawa,Sodankyla)の1985年3月から1986年2月までの期間について,観測者によるK指数(K(hand))との差のヒストグラムによった。結果はHermanus(HER)を除き(1)60から75%の一致,(2)1を越える差の起こる頻度は2%以下で十分に少ない,と良好であった.HERの結果がよくないことは,むしろK(hand)が正しくない事を示唆するものらしい。OSMは,統計原理上線形の方法の中では最適化されたものであるが,実際のデータにおいても十分使えることがわかった。
山崎明, 中禮正明, 角村悟, 中島新三郎
草津白根山における全磁力変化の解析:1990年の顕著な全磁力変化と熱消磁モデル
地磁気観測所要報, 第24巻, 第2号, pp. 53-66, 1992年3月
1990年9月に行われた草津白根山における全磁力くり返し観測の結果,全磁力の顕著な変化が検出された.前年9月からの変化量は山頂部南側の観測点で最大-11.1nTに達した.各観測点における全磁力変化は,山頂部の湯釜の北側で全磁力の増加,南側で減少という分布を示した.これは山体下における消磁の発生でよく説明できる変化である.この時期,草津白根山では火山性地震が多発しており,しばしば火山性徴動も観測されている.また、地球化学的観測からも高い活動レベルを示す観測データが得られている.これらのことから,湯釜周辺の地下で規模の大きな熱消磁が発生し,今回の全磁力変化を引き起こしたものと推定される.また,全磁力変化量から最小二乗法によって求まる熱消磁球の位置と火山性地震の震源域はよく一致した.この成果は,草津白根山をはじめ活火山の多くを占める安山岩質の火山においても,地磁気観測が火山活動を知る上で一つの有用な手段となることを示唆している.