Tezuka, M.
The Replacement of Kakioka Automatic Standard Magnetometer
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 25, No. 1-2, pp. 1-2, March, 1994
Tsunomura, S., Yamazaki, A., Tokumoto, T., Yamada, Y.
The New System of Kakioka Automatic Standard Magnetometer
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 25, No. 1-2, pp. 3-32, March, 1994
要旨
柿岡の標準磁気儀(KASMMER)の変化観測測定器が1989〜1992年にかけて4年計画で更新された。新しい測定器は高感度フラックスゲート磁力計1式およびオーバーハウザー磁力計4式とファンスロー・ブラウンベック・コイル3式の組み合わせである。前者は高分解能の毎秒値を,後者は安定した基線値を得るためのものである。約1年間にわたる調査観測の後,これまで20年間用いられてきた光ポンピング磁力計がオーバーハウザー磁力計と置き換えられ,1993年4月より新測定器による定常観測が開始された。これまでスタンドアロンのミニ・コンピューター2式であったコンピューター・システムも,イーサーネットで接続された7台のUNIXワークステーションで構成されるものへと更新された。この報文で我々は,KASMMERの新システムの設計を紹介し簡単な観測結果を報告する。
Yanagihara, K.
Long Time Variations of the Attenuation Constant and the Zero-Level of Dst Inferred from Variations of the Geomagnetic Horizontal Component observed at Kakioka
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 25, No. 1-2, pp. 33-47, March, 1994
要旨
擾乱の後の静穏期は長く続かず次の擾乱が起こってしまうので,Dstがゼロである状態はなかなか分かりにくい。いわゆる静穏日は擾乱のDstが減衰する過程で起こりその時の地磁気水平成分HはDstゼロの状態よりかなり小さいと考えられる。事実,静穏日が連続して起きているときのHの経日変化は指数関数的上昇で,その最終到達レベルはかなり大きな値と思われる。このことはまた静穏日のH経日変化を解析することによってDstゼロのHのレベルを求めることができることを意味する。しかし様々な雑音,例えば日変化および太陽風圧縮の日日変化,微小な擾乱あるいは変化計の基線値の安定性等々,のため単一のH変化を解析してDstゼロのレベルを求めることは困難である。統計的手段に頼らざるをえない。静穏日を統一した基準によって新たに選択し,この静穏日が4日連続して起きている場合を重ね合わせ平均のH変化を基礎資料とした。このH変化が指数関数で表せることは明かであるのでこれを解析して減衰係数と最終到達レベルを求めた。
減衰係数については太陽活動周期に依存しないこと,1950年代以前はほぼ一定であったが以後急激にまた一様に増大していることなどが分かった。DstゼロのHレベルは静穏日平均より10ないし30nTくらい大きい。この差は静穏日のDstがまだゼロに到達していないためのものであるが,20nT程度の大きな長期変動を示す。これはDstゼロレベルの変動ではなくてむしろ静穏日平均値の変動を示すものであろう。この長期変動には,減衰係数の変動に起因するものと擾乱の強さの変動に起因するものが含まれるが,その分を取り除いた後にいわゆる60年周期変化と思われるものが10nT程度残る。この60年周期変化は減衰係数の長期変動とともに興味深いが原因が確定できない。今後の問題である。