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山田雄二
柿岡、女満別、鹿屋における地磁気日変化の変動
地磁気観測所要報, 第26巻, 第1号, pp. 1-14, 1995年3月
要旨
柿岡,女満別,鹿屋における地磁気日変化の1日毎の変動のパターン分類を主成分分析法を用いて行った。その結果日変化のパターンは3つの主成分でその変動のほとんどを説明できることがわかった。第1主成分は昼間側電離層のSq渦電流の強さの変動を表しており,季節変動が明瞭で11年周期変動も見られる。この主成分は1日周期潮汐風によるダイナモ電流の変動を表していると考えられる。第2主成分は昼間の午前側,午後側2つの電流渦から成っており,半日周期潮汐風によるダイナモ電流の変動を表していると思われる。第3主成分のパターンや季節変動の様子は上の2つの主成分とは著しく異なっており,その成因はよくわからないが,極域起源の電離層電流によるものではないかと推定される。この方法は電流渦の中心位置に着目するこれまでの手法に比べてより正確にパターン変動を記述することができる。
Tsunomura, S.
On the Polarity of SSC and SI Observed in Low Latitudes
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 26, No. 1, pp. 15-36, March, 1995
日本の地磁気観測チェーンである柿岡,女満別,鹿屋,父島において観測されたSSC,SIの極性について統計および数値解析が行われる。柿岡での1957〜92年における現象報告を元にSSC,SIの極性の集計がなされる。H,Z成分の正変化極性(Hは北向き,Zは下向き)同様D成分もほとんどの場合において正変化極性(東向き)を示すことが示される。地磁気双極子座標系に座標変換した地磁気データを元にとられた集計では,SSC,SIともに,D成分の極性にはっきりとした片寄りはなかった。しかし,地磁気双極子座標系に変換することにより必ずしも女満別・柿岡・鹿屋の間の地点間相関係数が大きくなるわけではない。地磁気データの重ね合わせ解析と数値計算結果の対比を行った結果,D成分地磁気変化の地方時依存性は,極域に起源となる沿磁力線電流により引き起こされる電離層電流系のモデルで説明できることが結論される。さらに,地磁気変化の緯度変化は,電離層電流の寄与に加えて磁気圏界面電流,沿磁力線電流および磁気尾部電流の効果を考慮することで説明できることが示唆される。一方,女満別,鹿屋において地下の誘導効果により地磁気変化の水平成分振幅が強められているらしいこと,また,父島で水平成分振幅が期待されるほどには強められないことが示される。地下の誘導効果の振る舞い,特に父島におけるそれは,今後明らかにされるべき調査課題として残る。
Kakioka Magnetic Observatory
List of Contents of Memoirs of the Kakioka Magnetic Observatory -Vol.1(1938)〜Vo1.25(1994)-
Memoirs of Kakioka Magnetic Observatory, Vol. 26, No. 1, pp. 37-46, March, 1995