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別冊   第2号 (1966年)



久保木忠夫, 大島汎海

日本における地磁気変化ベクトルの異常について(第1報)−日本の観測所の特性−

地磁気観測所要報, 別冊, 第2号, pp. 1-31, 1966年2月


久保木忠夫, 大島汎海

日本における地磁気変化ベクトルの異常について(第2報)−関東地方の地磁気変化ベクトルの異常−

地磁気観測所要報, 別冊, 第2号, pp. 32-54, 1966年2月


要旨

 地磁気の数分ないし数十分の短周期変化を利用して,地下電気伝導度の推定を試みることは,すでに多くの人たちにより行なわれてき。日本付近のきわめて大きい異常についてはカ武らにより数多い研究琴がなされている.
 ここでは各周期についてそれぞれの観測所の特性を奨求め,それらがさらに複雑であること,地竃流の主方向と関係が深いことを調査した.
 さらに“常磐線電化対策特別観測”の資料を用いて関東中央部にも局所的な異常があることを見つけた.関東中央部は地震ひん発地域であるので,それとの相互関係も調査した。そして関東中央部の地下は,深さ30kmから約100kmまでが良電導層,それ以下が不良電導層になつているが,この地磁気異常域では,不良電導層が非常に局部的に40km〜6Okmまでつき上がっていて,上の良電導層を数kmの深さまでつき上げ,地磁気異常域ができるのであろうと考えた.
 観測所の周期特性が複雑であるのと同じく,‘地域的分布の異常は従来考えられている以上に複雑である.
 これらの地磁気異常の分布や周期特牲は,重力・モホロビチッチ不連続層・地質などと簡単な関係にないが,今後の測定を密にすれば地下構造の解明に役立ことであろう.




久保木忠夫

地球磁場の日、月、年平均値の変動と日平均値の変動の世界的分布(第1報)

地磁気観測所要報, 別冊, 第2号, pp. 55-92, 1966年2月


久保木忠夫

地球磁場の日、月、年平均値の変動と日平均値の変動の世界的分布(第2報)

地磁気観測所要報, 別冊, 第2号, pp. 93-109, 1966年2月


要旨

 地磁気の日平均値は外部磁場によって非常に影響を受けていて,外部磁場のじょう乱の指示量K指数とよい相関にある.この影響ほ水平分力が最も大きく,鉛直分力はほとんど零に近い.さらに,月,年平均値も外部じょう乱磁場の影響を受け,柿岡ではこの量が,水平分カで50γに達するときがある.
 このために日平均値はもちろんであるが,月平均値や年平均値も,外部磁場の影響を受けており,それを十分に考慮に入れてそれらの資料を取り扱わなければならない.とくに経年変化を議論するときには大切なことである.
 K指数と地磁気日平均値との変化の係数は,緯度の関数である.このため日本の固定観測所(柿岡・女満別・鹿屋・下里)の日平均値の相互差も地磁気の外部磁場のじょう乱の影響を受ける.したがって磁気測量の結果を整理する場合や,地球内部に原因する変化量を取り扱う場合にも このことを十分考慮しないと,外部磁場の影響量を完全に消去することができない.
 K指数と地磁気日平均値との変化の係数は,さらに太陽黒点の消長に大きく左右されるために,これらの日,月および年平均値を一定の強さの外部じょう乱磁場に引きもどすことはきわめて困難である.
 しかし各観測所の日平均値の変化の比は,緯度の関数で,太陽黒点の消長に影響されない.したがって,この比を用いて平均値を一定の強さの外部じょう乱磁場の状態に引きもどすことは可能であり,かつ有効な方法である.
 また日本の固定観測所の経年変化の相互の変化の比は,ほとんど一定であり,日平均値の相互の変化の比と異なるから,両者を考慮するならば,地球内部に原因する量の算出は容易である.
 全世界の 40 数か所の観測所の日平均値の変化の比を求めて,その分布図を描くと,いずれの成分もほとんど磁気緯度の関数である.
 日本の観測所の毎時値の相互の関係は,きわめて複雑であり,日平均値のように単純な換算の方法がない。とくに鉛直分力の日変化は,短周期変化のば合以上に複雑であり,さらに今後の研究が必要であろう。




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