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ホーム > 調査研究 > 平成30年度地磁気観測所調査研究基本方針

平成30年度地磁気観測所調査研究業務基本方針


I.地磁気観測所の調査研究が果たすべき役割

1.施策目標との関連

 地磁気観測所は、その施策目標として、地球電磁気的手法による地球環境の監視と防災業務への貢献を掲げることとし、このための手段として、
  (1) 地球電磁気的手法による地球環境の観測の的確な遂行
  (2) 観測データ並びに当所の保有する技術の適切な公開
 を実施するとともに、
  (3) 地球環境監視並びに防災業務へ観測の成果を高度に利活用するための手法の開発
 を推進することとする。
 当所における調査研究業務は、これらの業務を高度化し、より的確に実施するために行うものである。

2.本年度の目標

 極端な磁気嵐現象は、発生頻度は低いが一旦発生すると高エネルギー粒子や地磁気誘導電流(Geomagnetically Induced Current, GIC)による災害を引き起こし、電力、GNSS等衛星測位システム、航空運輸などに大きな影響を与える。地磁気観測所では長期間にわたり地磁気及び地電位差の変化観測データを蓄積しており、これらのデータを用いて太陽活動と地磁気の変動が与える影響評価のための調査研究に取り組む。
 過去のアナログ記録(印画紙)を調査研究に利活用するために、順次読み取りプログラムにより数値化を進める。これにより、変動の激しい磁気嵐の研究に必要な高い時間分解能のデータが得られ、これらのデータの公開も進める。
 地磁気観測は連続観測とそれを較正するための間欠的な絶対観測から成り立っている。連続観測は自動化されているが、絶対観測は手動で行っているのが現状である。この絶対観測の自動化を目指し、海外で開発が進められている自動絶対観測装置の試験・評価を実施し、問題点の整理と改良の可能性を探り、導入のための技術的検討を行う。
 国民の安全・安心に直結する火山活動の監視に関して、地磁気全磁力観測による火山活動評価に一定の成果が認められている。気象庁火山監視・警報センターおよび各地域火山監視・警報センターの業務に全磁力繰返し観測の項目が入り、全磁力連続観測の整備も進んでいることや最近の無人航空機や磁力計の開発状況等を踏まえ、より高度な火山活動監視のために水蒸気噴火について重点的に調査研究を進める。


II.重点的に推進すべき調査研究課題

1. 観測業務の遂行に関する調査研究の課題

1.1 地磁気観測

○ 施策目的

 GNSS 等人工衛星の利用が各分野へ広がっており、大規模な磁気嵐が発生した場合は、それに伴う地磁気誘導電流が現代の高度情報化社会を支えるシステムに致命的な影響を与える可能性がある。しかし、このような地磁気極端現象の事例は少なく人間活動に対する影響評価が十分になされているとは言えない。地磁気観測所では長期間にわたり地磁気及び地電位差の変化観測データを蓄積しており、これらのデータを用いて太陽活動と地磁気の変動が与える影響評価のための調査研究に取り組む。
 また、地磁気短周期現象の即時的検出能力の向上やデータベースの拡充・品質向上を図り、観測データの利用価値を高める。

○ 調査研究への取り組み

 これまで地磁気現象データベースの利用性向上と地磁気活動状況の即時提供方法の開発を進めてきた。地磁気短周期現象の統計的調査により適切なクオリティ(明瞭度、顕著さ)基準値が導出された。また、変動の激しい磁気嵐に対応するGICの推定を試みてきた。
 さらに高度情報化社会に与える影響を評価するために地磁気変動と地電位差変動の比較解析を進め、大規模な磁気嵐について特徴を見出す。
 また、地磁気短周期現象のデータベースの拡充・品質向上を図るとともに、地磁気短周期現象の早期把握に向けた調査研究にも取り組む。

 [推進すべき重要課題:「地磁気短周期現象の情報活用に関わる調査」]

1.2 地磁気絶対観測

○ 施策目的

 地磁気観測は連続観測とそれを補正する間欠的な絶対観測から成り立っている。連続観測については遠隔操作を含めて自動計測、収録が実現しているが、磁性などの問題のため、自動測器による定常的な絶対観測は未だ実現していない。しかし、現在の地磁気絶対観測で広く用いられている角度測定器やFT 型磁気儀が将来にわたって供給されるのかなど不確実な要素もあり、今後の地磁気絶対観測の方法についての検討は避けて通れない課題である。また、地磁気絶対観測の自動計測は地磁気観測所の業務の効率化を図るものであり、現在の技術動向を探求しながら自動化に関する調査、検討を進める必要がある。

○ 調査研究への取り組み

 地磁気絶対観測の自動計測について、海外で開発を進めている自動絶対観測装置の試験・評価と、国内での開発の可能性について調査を行ってきた。
 これまでの調査で、海外で開発を進めている装置には、観測値のばらつき、動作の安定性に問題があることがわかった。国内での開発は、偏角(declination)測定の開発まで進んだが、方位角補正機能の開発等で停滞した状態であり、試作器の製作には至っていない。
 海外で開発を進めている装置の試験観測・評価を継続し、改良に向けた問題点の整理と改良の可能性を探り、自動化に向けた技術的検討を行う。併せて、測器保守技術の取得や国内での独自開発の可能性を調査する。

 [推進すべき重要課題:「地磁気絶対観測の自動計測試作器の改良に向けた調査」]


2. 観測成果・技術の利活用に関する調査研究の課題

2.1 火山活動関連

○ 施策目的

 地磁気全磁力観測による火山活動評価には一定の成果が認められており、気象庁火山監視・警報センターおよび各地域火山監視・警報センター業務に繰返し観測が取り入れられ、当所の全磁力連続及び繰返し観測結果も同センターの火山活動評価に利用されている。平成29 年4 月には草津白根山の噴火警戒レベル判定基準に全磁力変化が追加された。
 平成26 年11 月の「御嶽山の噴火災害を踏まえた活火山の観測体制の強化に関する緊急提言」では観測強化の大きな柱として地球電磁気観測が提言された。また、平成27 年3 月の「御嶽山の噴火災害を踏まえた活火山の観測体制の強化に関する報告」では、当所の役割として、気象庁が今後取り組む火山観測体制および評価体制の強化、または観測機器の開発等に協力していくことが求められている。こうした要請の下、当所は火山監視技術の高度化を目指し、電磁気学的な観点から気象庁の火山業務へ貢献していく。
 当所はこれまでの観測を通じて、阿蘇山・雲仙岳・三宅島・伊豆大島・草津白根山・吾妻山・雌阿寒岳・安達太良山など、火口周辺での全磁力観測が熱活動の理解に有効であることを示してきた。特に平成27年3月以降の雌阿寒岳の全磁力減少は、地震動など他の観測項目では捕捉できない小規模な熱活動における全磁力観測の感度の高さを示した。今後は、気象庁や大学などの研究機関と協力し、マグマや熱水活動の状態を詳細に把握する技術開発を目指す。
 また、無人航空機の開発と磁力計の軽量化が進み、磁気測量の有効な手段となり得るなど、新しい観測技術の開発を目指す。

○ 調査研究への取り組み

 気象庁火山監視・警報センターおよび各地域火山監視・警報センターとの協力を推進し、より高度な火山活動監視の実現を目指すため、特に水蒸気噴火について重点的に調査研究を推進する。雌阿寒岳、草津白根山、阿蘇山、伊豆大島において全磁力連続観測を継続し、全磁力繰返し観測も行う。雌阿寒岳では平成27 年3 月以降、熱消磁とみられる全磁力変化が観測され、平成28 年10 月頃から帯磁傾向、平成30 年1 月以降停滞している。今後の推移を注視すると共に熱源の解析に力点を置く。草津白根山では平成30 年1 月に、観測の対象としていた湯釜から約2km 南方の本白根山で噴火し、現在の観測網では噴火に伴う変化を捉えることができなかった。平成30 年度は、本白根山のその後の熱活動の推移を調査対象とする。次期噴火が近いと予想される伊豆大島、三宅島については火山噴火予知連絡会で作業部会を設置し観測体制のあり方を検討する計画があり、関連機関と連携して観測およびデータ解析を実施する。平成27 年度以降に地震火山部が整備した樽前山、吾妻山、御嶽山、霧島山、九重山等の全磁力連続観測点については、観測データの品質を見極め、平成29 年度はDI補正を用いて短周期の外部磁場擾乱の影響を低減させることができた。今後は年周変化等の長周期変動に対する補正方法についての検討を行う。また、観測機器の電源ノイズの低減化や冬季の電力確保などの運用改善、ドローンを用いた空中磁気測量など新しい観測技術に関する調査、および地殻比抵抗等の調査を行う。

 [推進すべき重要課題:「電磁気による火山活動評価の高度化に関する調査」]

2.2 観測データの公開関連

○ 施策目的

 観測成果の公表について、近年、ホームページを利用した手段が極めて重要なツールとなっている。速報的な情報発信から過去に蓄積された資料の閲覧まで、その利便性は格段に向上してきた。
 資料や情報をこの通信環境に取り込むためにはデジタル化する必要がある。しかし、100 年を超える歴史を持つ当所柿岡においてもデジタル値として観測されたデータは40 年余に過ぎず、多くはブロマイド印画紙のアナログ記録として大量に蓄積されている。これらをデジタルデータ化して公開することで、データアクセス性の向上、現象等の検索・閲覧、データ比較、解析計算などその利用価値は飛躍的に高められる。過去のアナログ記録をデジタル変換し、近年のデジタル計測されたデータと繋げることで、同一地点での連続した長期間記録が扱えることにもなり、太陽活動の地球環境への影響調査等に資することが期待される。過去のアナログ記録を有効利用するためには、これらを高品質なデジタルデータに変換することが不可欠である。

○ 調査研究への取り組み

 平成20 年度以降、アナログ記録画像からデジタル化するためプログラム開発などが始められた。その後も、既存データと比較するなどして読み取りが充分な精度で行われていることを確認しつつ改良を重ね、毎分値および高時間分解能の7.5 秒値への数値化を進めてきた。これまで柿岡の1926 年から1983年、および女満別と鹿屋の1974 年から1984 年までのアナログ記録をデジタル画像化し、柿岡の1956年から1975 年までの毎分値と1956 年から1984 年までの7.5 秒値、および女満別・鹿屋の1979 年から1984 年までの毎分値と7.5 秒値の数値化を行ない、当所ホームページで公開することが出来た。
 しかしながら、ブロマイド記録には年代を遡るほどに記録線の不明瞭なものやコントラストの良くないもの、記録形式が異なるものなどが次第に多くなる傾向がみられる。さらに基線値や寸法値を適用しても観測室によって原因不明の違いが残るなどの問題があることが分かってきた。これらについてはさらに調査を行うとともに、残っているブロマイド記録のデジタル化も順次、進めていく。一方、スキャンした画像ファイルも引き続きホームページでの公開を進めていく。
 なお、大学のデータベース作成共同研究などを利用しアナログ記録のデジタル画像及び数値への変換を効率的に実施できるように努める。

 [推進すべき重要課題:「地磁気ブロマイド記録のデジタル化」]


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