主成分分析を通じて海流モデルに海洋ダイナモ現象に対する十分な解像度があることが示唆されたので、次に、水平流速を入力に用いて誘導電磁場を数値的に計算した。長周期変化だけに注目し、海を含む地表面10kmにだけ電流が流れるモデル空間を用いることで、薄層近似を適用できるように問題を極めて単純化し、海表面から海底面までの平均水平流が誘導する電磁場を有限要素法によって計算した(図2)。計算領域は、2000〜3000km四方で、12km x 12kmの等方格子を組んだ。地磁気分布はIGRFモデルを利用し、海水の平均電気伝導度は海洋総合解析システム海流モデルの塩分濃度・温度・圧力の値から標準海水モデル式を利用して換算した。海の深さはETOPO5モデル、堆積層の厚さはハーバード大学のモデルを利用し、電気伝導度として堆積物に0.1S/m、それ以外の岩石に0.01S/mを一律に与えた。