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平成20年度調査研究のトピックス(2)

地磁気変化現象検出と利用

本調査は、地磁気活動状況の把握あるいは情報発信を速やかに行えるように、地磁気変化現象読み取り作業を支援するための基礎資料を充実させ、利活用しやすい環境を整えることを目的としたものである。


図1 静穏日の地磁気東西成分の日較差の変動
図1 静穏日の地磁気東西成分の日較差の変動と太陽黒点数

地磁気は静穏な日でもその大きさや向きが緩やかに変化していて、また、時に人工衛星の運行にも支障をおこすような磁気嵐が発生することがある。それらの磁場の変動は磁気圏あるいは電離層を流れる電流によって作られている。不規則な磁場の変化を捉えるためには、まず静穏な日の地磁気変化を知っておく必要がある。図1は、1976年から現在まで月毎に、地磁気観測所(柿岡)における静穏日の地磁気東西成分の日較差平均値と太陽活動の指標のひとつとして黒点数の平均値を示したものである。地磁気に1年周期、11年周期の変化があることがよくわかる。地磁気の一日周期の変化は、地球の昼間側で太陽からの熱を受けて生じた対流が電離層に大きな渦状の電流を作ることによって起こる。その変化には太陽と地球の位置関係から一年周期の変化があり、さらに太陽活動に同期した11年周期の変化もある。

2009年は新しい太陽活動サイクルが始まる時期と考えられるが、太陽フレアの発生は少なく、過去に比べると黒点数の少ない期間が長く続いている。地磁気の擾乱度を示す指数(K指数)もかつてないほど小さい状況が継続している(図2)。


図2 地磁気擾乱指数(K指数)の変動
図2 地磁気擾乱指数(K指数)の変動と太陽黒点数

また、数分から数日間の様々な周期の不規則な変化の原因は、太陽風と密接に関係している。太陽風を観測する衛星のひとつであるACE衛星は、地球から太陽の方向に約150万km離れた位置で、太陽風の速度、太陽風とともにもたらされる磁場(惑星間空間磁場)、あるいは陽子の密度などを観測している。ACE衛星は、太陽風を、地球磁気圏に到達するよりも前に観測していることになる。図3は、柿岡における地磁気水平成分(H KAK)、ACE衛星で観測された太陽風の速さ(Wind)、およびそれから予測される地球磁気圏到達時の、太陽風の速さ(ΔT Wind)、陽子密度(Density)、惑星間空間磁場の南北成分(Bz)を並べて示したものである。ACE衛星で観測した太陽風の変化が約1時間後に地磁気に影響を及ぼしていることが分かる。この例のように、磁気圏の磁場変動を数十分前に推測することも可能になりつつあり、より速やかな情報発信への活用が期待できる。


図3 地磁気の変化と太陽風(下3つの要素は予測時刻に対応)
図3 柿岡の地磁気変化とACE衛星で観測した太陽風の変化(下3つの要素は地球磁気圏到達予測時刻に対応させたもの)

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