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平成26年度調査研究のトピックス(3)

活動的火山における地磁気変化に関する調査

研究代表者:山崎 明

活動的な火山ではマグマの上昇や地下の熱水系の発達などにより、岩石の磁化が弱まり地磁気が変化したり、比抵抗が下がるなどさまざまな地球電磁気的な変化が発生します。地磁気観測所では主に全磁力観測による火山活動の監視手法の研究に取り組んでいますが、ここでは2013年と2014年の夏に産業技術総合研究所と共同で雌阿寒岳において実施したAMT法による比抵抗構造探査について紹介します。比抵抗は地下の水の存在に敏感な物理量であり、火山の比抵抗構造を調べることは火山の熱水貯留層の分布を知ることを意味し、火山活動を理解する上での基礎的な情報となります。

AMT法とは電磁探査法の一種で、地表における電場と磁場のシグナルから地下の比抵抗を求めます。AMT法で観測するのは主に熱帯地方で発生している雷起源の電磁場変動です。測定周波数は1Hz〜10kHzで、探査深度は概ね1kmです。比抵抗構造探査を行った雌阿寒岳は北海道道東部に位置する活火山で、最近では2006年、2008年に小規模な水蒸気噴火を起こしています。AMT探査の観測は雌阿寒岳をほぼ東西に横断する登山道沿いで行いました(図1)。観測した電磁場の解析から、比抵抗構造の走向方向は北西-南東方向であると推定され、2次元逆解析から比抵抗構造を推定しました(図2)。解析の結果、雌阿寒岳の表層から100m程度より深い領域では全体的に低比抵抗であることがわかりました。比抵抗は岩石の含水率が上がると大きく下がることが知られており、雌阿寒岳の山体には熱水貯留層もしくは熱水変質帯が広く分布していると推定されます。

図1

図1 雌阿寒岳におけるAMT観測点配置図
図中、□は2013年8月、■は2014年8月に測定を実施した観測点。赤線(A-B)は推定した2次元比抵抗断面図の投影面である。


図2

図2 推定された雌阿寒岳の2次元比抵抗構造
   P:ポンマチネシリ火口位置
   N:ナカマチネシリ火口位置
   C1(白抜き):山頂部の低比抵抗域
   C2(白抜き):北東山麓部の低比抵抗域




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