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ホーム > 調査研究 > トピックス > 地磁気ブロマイド記録のデジタル毎分値化

平成27年度調査研究のトピックス(2)

地磁気ブロマイド記録のデジタル化

研究代表者:増子 徳道

本調査研究では、デジタル収録が開始される以前の地磁気変化をデジタルデータとして蘇らせるため、印画紙に記録された過去の地磁気のアナログデータ(ブロマイド記録)をデジタル化して数値データへと変換し、毎分値(1分毎の値)および毎7.5秒値(7.5秒毎の値)を作成し公開する取り組みを行っています。あわせて、電子化したブロマイド記録も公開しています。

地磁気観測所では大正2年(1913年)に柿岡で、昭和27年(1952年)に女満別で、昭和33年(1958年)に鹿屋で地磁気観測をそれぞれ開始し、現在に至るまで長年にわたって地球磁場の変化を観測し続けています。現在、日々の観測値は全てデジタルデータとして収録されていますが、デジタル収録が開始される以前は、地磁気の変化を画像として記録するブロマイド印画紙が唯一のデータ収録媒体でした(柿岡では1976年、女満別・鹿屋では1985年からデジタル収録が開始)。

このためデジタル収録が開始される以前は、観測によって得られたブロマイド記録(図1)を日々の観測者が手作業によって読み取る毎時値が唯一の連続データでしたが、算出された地磁気毎時値データはそのデータ期間の長さと安定性から、太陽や地球内部の長期的な活動を把握するための貴重な資料として現在も世界中の研究者に利用されています。


図1

図1  1日分の地磁気ブロマイド記録(地磁気の水平,鉛直,偏角成分)


このブロマイド記録をデジタルデータに変換するために平成20年度に調査を開始し、平成26年度までに柿岡の20年分(1956〜1975年)の記録をデジタル化して公開してきました

平成27年度は、さらに女満別・鹿屋の地磁気ブロマイド記録についてもデジタル化を行い、それぞれ1980〜1984年のデジタル化データの公開を開始しました。また、地磁気の変動が激しく複数の記録線(水平、鉛直、偏角の各成分)が交差するため読み取りが困難だった磁気嵐の際の記録についても丁寧な読み取りを行い、これまで利用できなかった過去の磁気嵐における詳細な地磁気データを利用することができるようになりました(図2, 図3, 図4)。


図2

図2  地磁気嵐の際のブロマイド記録例 (柿岡 1960年4月1日00時〜23時 UTC)


図3

図3  地磁気嵐の際の記録からデジタル化した毎分値 (柿岡 1960年4月1日00時〜23時 UTC)


図4

図4  従来の毎時値 (柿岡 1960年4月1日00時〜23時 UTC)


デジタル化したデータは、地磁気世界資料センター京都*に提供し世界中の研究者に公開されているとともに、当所のWEBサイトでは電子化した地磁気ブロマイド記録も公開しています(図5)。

*京都大学地磁気世界資料解析センターが運営する地磁気の世界データセンター
  http://wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/


図5

図5  当所のWEBサイトで地磁気ブロマイド画像を公開中


現在利用できる1970年以前の地磁気デジタル毎分値は、世界的にも柿岡の他にはほとんど存在しないため、この取り組みにより過去のブロマイド記録から得られるデジタル値は、世界の研究者の大きな財産となります。
今後もさらに過去の期間に遡ってデジタル化を進めていきたいと考えています。

デジタル化した地磁気データ(毎分値、毎7.5秒値、ブロマイド画像)は以下のURLからダウンロードおよび閲覧が可能です。

地磁気データダウンロードのページ:
  http://www.kakioka-jma.go.jp/obsdata/metadata/ja/products/list/mag/kak/


このデータ作成にあたっては、以下の研究助成を受けています。
・日本学術振興会科学研究費補助金(研究成果公開促進費)データベース(平成24年度:課題番号248032)
・日本学術振興会科学研究費補助金(研究成果公開促進費)データベース(平成26年度:課題番号268023)
・日本学術振興会科学研究費補助金(研究成果公開促進費)データベース(平成27年度:課題番号15HP8028)
・名古屋大学太陽地球環境研究所 所外データベース作成共同研究(平成26年度)
・名古屋大学太陽地球環境研究所 所外データベース作成共同研究(平成27年度)

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