ナビゲーションをスキップ
柿岡、鹿屋、女満別の高感度フラックスゲート磁力計の周波数特性
山崎明,三島稔明
要旨
柿岡,女満別,鹿屋で実施している地磁気0.1 秒値観測は2012 年より高感度フラックスゲート磁力計の出力を直接A/D 変換し収録する方式に切り替えられた.これまでは高感度フラックスゲート出力に周期150 秒のアナログハイパスフィルタを通過させて収録していたので,この変更に伴い周波数特性が大きく変わることになる.また,高感度フラックスゲート磁力計3 式も新たに整備されたことから,これらの磁力計の交流感度測定を実施し周波数特性の調査を行った.交流感度の測定は柿岡の比較較正室にある大型3 軸コイルを用いて行った.測定結果,おおむね仕様に近い周波数特性が得られたものの,Z 成分がH,D 成分と比較してやや特性が異なるという結果が得られた.また,センサーに内蔵されているコイルを使用した交流感度測定も実施し,大型コイルの場合と比較した.その結果,内蔵コイルと大型コイルでは3 成分とも周波数特性が少し異なることがわかった.これら特性が異なる原因を調査したところ,センサーの台座やカバー,センサー搭載台などのアルミ部材に誘導される電流が微妙に周波数特性に影響していることが明らかとなった.実際の地球磁場の観測ではセンサー周囲のアルミ部材に誘導される電流の効果も含んだ磁場が測定されるので,大型コイルによる交流感度測定値の方が内蔵コイルより正しい周波数特性を与えていると言える.