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伊豆大島の地磁気全磁力にみられる周期数ヶ月の変動
田口陽介,増子徳道,山崎 明,三島稔明
要旨
地磁気観測所では伊豆大島の三原山の北側で約40m離れた2地点において火山活動による地磁気変化を捉えるために全磁力連続観測をおこなっている.基準点との全磁力差には振幅20〜30nTにも及ぶ大きな年周変化がみられ,その上,2地点のデータの変動パターンが異なる.観測点近傍の岩石の磁化変化による影響を受けていると考えられるが,火山活動を捉える上ではノイズとなる.そのため,全磁力変化の特性について全磁力差を成分に分解して調査した.その結果,全磁力差からトレンド成分と気温に起因する年周変化成分を差し引いた残差成分には,数ヶ月ほどの周期で変動する不規則な成分が卓越し,その変動は2地点で逆センスを示すことが見出され,土壌雨量指数との比較により降水量と調和的であることが示唆された.また,この特性を利用して2地点の平均値を使用すると,ノイズを軽減できることがわかった.