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父島(CBI)における津波誘導磁場の現象記録
舘畑秀衛
要旨
津波によって導電性のある海水が流動する時,地球磁場との相互作用によって起電力が生じ,海水中に誘導電流が流れる.この電流から2次的に誘導磁場が生まれる.陸上の観測施設から津波による誘導磁場が観測された例は,2012年2月27日チリ中部沿岸の地震津波による太平洋のイースター島での報告と,平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震による津波による観測の報告がある.陸上からの誘導磁場の明瞭な観測の報告は,この2例のみで,観測点としてもイースター島と父島だけであった.しかし父島二見港検潮所で高さ1m以上の津波を観測した例は過去にもあり,さらに過去の津波に関する誘導磁場の現象を発掘すべく,父島の地磁気観測データを1995年まで遡って精査したところ,他にも誘導磁場の現象が発見された.前述の平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震津波に加えて,新たに明瞭な事例が4例,不確実な事例1例が発見され,父島での観測例は合計6例となった.明瞭な事例には,津波の高さが22cmの小津波もある.津波の振幅と誘導磁場の地磁気の鉛直Z成分(以下,Z成分)の振幅との比は,感度として約1.0(nT/m)となった.また父島二見港検潮記録に対して,誘導磁場の方が10〜20分程早く発現する性質があり,防災上注目に値すると思われる.