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ガウシアンフィルタを適用した地磁気毎分値の作成について
浅利晴紀、神谷亜希子、弘田瑛士
要旨
気象庁地磁気観測所では地磁気デジタル毎秒値の収録を始めた1983年から現在まで,地磁気毎分値の算出方式として毎秒値60個の単純平均を採用している.他方,海外の主要な観測所では,現在その多くがインターマグネットが推奨するガウシアンフィルタを用いて毎分値を算出している.そこで,将来的に毎分値作成処理を国際標準的な方式へ転換する可能性も視野に入れ,両方式による毎分値の性質の相違点を検証した.単純平均とガウシアンフィルタは,ローパスフィルタとしての大局的な傾向では類似するが,周期1分付近の帯域で前者のゲインの方が顕著に小さくなる.擾乱時の柿岡毎秒値から得た毎分値XYZ成分の周波数解析では,単純平均により生じるエイリアシングの方がやや小さく現れており,ガウシアンフィルタにアンチエイリアシングにおける優位性は認められない.両方式によって得られる毎分値の乖離はssc等の急変化現象の発生時において数nT程度に達することもあるが,その出現率は低く,太陽活動極大期においても,99.9%は0.3nT以下である.毎分値算出方式の切り替えによってそのデータ特性に重大な不連続が生じるという程でもなく,国際観測網のデータ均質性の観点からガウシアンフィルタを採用することにも合理性はあろう.