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磁気嵐における水平分力最小値起時の世界時日変化
吉松隆三郎
要旨
前回に引きつづきこの論文では,TLのtsc(U.T.)による日変化の例を更にApia及びHonoluluについて求めて追加すると共に,次のようなことを指摘した.TLはtM(U.T.) (主相の起時)及びtL(U. T.) (終相の起時)に対しては全く日変化がない.しかし初相継続時間TIはtsc(U.T.)に対してTL程よくないが大体TLと同様の日変化をする.即ち主相の初り及び終りの時刻はほぼtsc(U. T.) によって統計的には決定される. このTLの日変化は各tsc(U. T.)に対応する太陽−地球方向を含む子午面における特に低地磁気緯度の地表における地域的地磁気異常の分布と2時間位の位相差を考慮すると関係が深いことを指摘した.これは地球双極磁場よりの偏僑磁場も主磁場と同程度の作用を主相に及ぼしていることで,統計的に大きい磁気嵐は小さい嵐よりもより早く終相が出現するという事実と等価の作用を磁気異常がもっていると思われる. しかし現時においては主相の理論,特にここに取り上げているような時間経過の問題については何も知られていないに近いので,理論的考察と同時に人工衛星等による外圏の磁場分布及変化の直接観測の資料がもっと豊富になることが是非必要である.
本文には正誤表が付属します.