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1958年2月11日の磁気嵐について
永井正男
要旨
1958年2月11日01時25分UTにおこった急始大地磁気嵐について,28観測所の毎時値を使って,急始の24時間前から, 48時間後までDst場及びDS場を解析した.そしてDS場の等価電流ベクトルとプラック・アウトの汎世界的パターンとを比較検討した結果,次に示す3つの特性が明らかになった. (1) SCの直後(+1時)に極めて顕著なDS場が,極光帯及び極冠帯のほとんど全領域においてみられた.これは通常の地磁気嵐がDst場の発達につれて,DS場も次第に発達するのに比べ,ほとんど例外的といってよいほど特徴的である. (2) プラック・アウトの始まった急始前13時間において,それまで全く静穏であった地磁気が活動を開始し,ブラック・アウトの発達につれて-6時間では,College,Tiksy,Dixonでー500γの地磁気擾乱を観測した.Pre-SC擾乱の電流系は午前側では時計廻り,午後側では反時計廻りで,初相における電流系はPre-SC擾乱の電流系が強調されたものである. (3) Dst場の発達にともなって極光帯の南下が顕著にみられる.Dst場の極大時(+9時)を境にして発達過程においては午前側のヨーロッパゾーンにおいて,回復過程においては23時〜20時のアラスカ〜カムチャッカゾーンにスパイラルに南下し,地磁気純度34.1°の女満別においてLT19時〜22時に極光が観測された.