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低緯度地方におけるInverted SC
山口又新
要旨
SCメーンインパルスの水平分力は,中低緯度では増加し,高緯度では地方時に依存して,増加したり減少したりするのが普通である.しかし,中低緯度観測所からも頻度は,極めて少ないが水平分カの減少するSCが報告されている.柿岡には,1923〜1951に2個,1958年に1個,1960年に1個,合計4個がある. SC等の地磁気急変化を,一観測所のみの観測記録によって決定することは,困難な場合が多く,1924〜1951中の2例についての調査は未了であるが,後の2例について汎世界的資料を検討した.この2例は,かなり多くの観測所がSCと報じているが,調査の結果,1958年4月2日4時59分の急変化は,s.f.e.であり,1960年1月10日7時18分の急変化は,Si(−C)(水平分力の急減するサドンインパルス)と見た方がよいことがわかった.このことは,柿岡程度に緯度が低い処では,水平分力の減少するSCは起らないことを示唆する.又他の中低緯度観測所から報告された例についても,詳細に検討する必要があるように思われる.