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MO-P型核磁気儀による水平,垂直成分観測とその補償磁場
櫻岡勉
要旨
MO−P型核磁気儀は標準磁気儀(A-56)にかわり副準器として絶対観測に常用することを目的として設置されたものである.この磁気儀の仕様は全磁力F,水平分力Hおよび鉛直分力Zを精度0.3γ もしくはそれ以上で観測できるようになっている. この磁気儀全体については,いずれ報告される予定であるが,ここでは観測に常用するために加えた二,三の改善,主として補償電源について述べる. HおよびZ成分の観測の場合には,ヘルムホルツコイルによってほかの一方の成分をベクトル的に打消すが,このときの補償磁場の安定度が観測精度を決定する一つの重要な要素になる.最初に設計製作された補償電源による場合には,1時的に補償コイル電流を切ったとき,あるいは電流値を2分の1などに切換えるとその後の変動が大きく,連続観測にはこの大きな変動が直接的に,あるいは観測時間を長くすることから間接的に誤差の原因となり,期待の観測精度を得るには困難である. その後, Dummy loadおよび補償抵抗を入れることによって,大きな電流変動の起らない安定した補償電源を得ることができた.観測精度に影響を与えないためには,補償磁場を40γ以下の変動におさえればよい.これに対して,電流の安定度は1時間で1×10-2mA (補償磁場7γに相当する)以下であり,短時間の場合3×10-3mA(2γ)以下となった. この補償電源を使用して観測した1965年10月の結果では,|F−(H2+Z2)1/2|の最大は0.4γ,平均で0.1γである.