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1958年7月8日の地磁気嵐と電離層嵐の発達について
永井正男
要旨
1958年7月8日07時48分世界時に起こった地磁気嵐はFast TypeのPCAに対応する.これに対しさきに解析した1958年2月11日の地磁気嵐は,Slow TypeのPCAである.2月11日の場合は, PCAの発達過程と一致してPre-sc擾乱の発達過程をとらえることができた.7月8日のPCAの初期の発達過程においては地磁気の変化はほとんど静穏であり,ブラック・アクトの領域が完全に極冠帯および極光帯の全領域をおおった後初めてSharp Negative Bayが急発達した.これは2月11日の場合と非常に異なっておりFast Typeの場合の特性のーつと考えられる. scの3時間前にDP(Pre-sc)電流系が極冠帯ブラック・アウトと関連してすでに形成されておるが,この電流系と初相のそれとは本質的に全く同じパターンを示している.これは2月11日の場合とよく一致する.したがってscの二・三時間前から地磁気嵐の初相にいたる問においてはFast TypeとSlow Typeの区別はつけられない. 主相においてはDst磁場の発速にともなって異常電離領域も著しく南下する.2月11日の場合は午前の側から真夜中にかけて極光帯ブラック・アウトがスパイラルにのび,午後の側から真夜中にかけてStorm Esの領域が発達するが,7月8日の場合は極光帯の全領域をおおってブラック・アウトだけが観測される.これはきわめて特異な例である.電流系は下部電離層における異常電離領域の発達と同様,初相のそれがさらに増大されたパターンを示すが,昼夜の区別がなくなり極光帯全域で極めて大きな値を示している.これは初相の電流系にさらにAuroral Electrojetが増大されて附加されたものと考えられる.