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地磁気観測所要報 別冊 第03号, p.1, 1970年3月


中低緯度地域における周期1秒付近の短周期地磁気脈動


河村まこと


要旨

 中低緯度地域における周期1秒前後の短周期地磁気脈動を連続測定するために,高透磁率コアを用いる誘導型磁場変化測定装置を考案し,それを女満別および鹿屋に,またその解析装置を柿岡に設置し,1964年3月以来,上記周期の地磁気脈動を測定調査している.
  本論文では,この測定装置と,主として1964年3月より1966年3月までの約2年間にえられた連続測定資料に基づく中低緯度で観測される周期1秒前後の地磁気脈動の特性に関する統計調査結果について述べ,この脈動の伝播について考察する.
  まず節1章では,1秒前後の最も測定困難な周期を有する極微小振幅の地磁気脈動を検出しうるこの測定装置について述べる.中低緯度で高々数十mγの微小振幅をもつこの短周期地磁気脈動の検出には,測定装置の内部雑音およびすべての人工的外来雑音を,測定に支障のない量まで低めることが必要である.実際にこの装置では,その綜合雑音量を2mγ以下(実行断面積108cm2のループコイルに誘起される周期1秒の起電力に換算して約0.1μV以下)におさえることができた.
  第2章では,この装置を用いて,女満別および鹿屋の2点で測定された周期約1秒の規則的連続脈動pc−1の出現頻度の日変化について述べ,中低緯度におけるその日変化はその上の電離層の遮蔽効果によって支配されることを示した.
  第3章では,この脈動の出現頻度の年変化について述べる。外見上の顕著な変化はその本質ではなく,この脈動は磁気嵐後の静穏期に多く出現する傾向を持つことを示した.
  第4章では,この脈動の周期および振幅の特性について述べる.平均周期も出現頻度に良く対比する顕著な日変化を示しこの脈動に及ぼす電離層遮蔽効果によると解釈した.女満別と鹿屋との間で,かなり大きな振巾の相違が認められることは,この脈動の高緯度から中低緯度地上への伝播と,その伝搬路における減衰を示している.
  第5章では,この脈動の特に顕著なものについて,そのスベクトル微細構造と水平変化ベクトルの振舞いについて調査した結果について述べる.またこの振動の発生域と伝播機構について考察した.
  第6章には,pc-1と同じ周期範囲にある不規則脈動に関した同様の統計解析を行なった結果について述べる.この脈動pi-1(sp)は,主として磁気嵐または地磁気湾型変化に伴うバースト状不規則脈動pi-1,2 (従来のpt)のこの周期帯に属する成分で,その統計的および久ベクトル的特性はpi-1,2と良く一致することを示した.
  第7章では,これらの脈動はいずれも磁気嵐と密接な関係を持つものであるので,数例の典型的な磁気嵐とそれに続く期間について,磁気嵐の経過とこれら脈動の出現の関係を調査した結果について述べる.



[全文 (PDF; 英語; size:4586KB)]


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