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霧島火山周辺における磁気測量
永井正男,永野哲郎
要旨
過去の事実によると,加久藤カルデラ内に発生した群発性の地震は終息後,霧島火山群中の新燃岳附近にきわめて浅い小地震を群発させ,あるいは霧島火山群の東南端の高千穂御鉢火口に噴火をおこす場合が多い. 今回の“えびの群発地震"のあとにも,1968年3月7,8日に新燃岳附近に浅い地震が群発し間もなく終息したが,地震活動はさらに東南へ移行して1969年3月には中岳に地震が群発し,火山性の脈動も発生した.その後10月にはさらに中岳より高千穂峰の方向へ移行し,12月になって御鉢火口附近に集中して発生した. ここでは,これら群発地震あるいは火山活動と地磁気変化との間にどのような関連が見られるかを調査するため,“えびの群発地震"最盛期の1968年3月16〜27日とその影響のなくなった1971年10月27〜28日の2回にわたって,霧島火山周辺において伏角の測定を行なった. その結果,高千穂御鉢火口附近に誘発された火山性地震の原因と考えられるマグマの上昇が,噴火にまでは到らなかったが,附近の測点に1〜2'の伏角変化をもたらしたことをたしかめた.