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地震に伴って発現する発光現象調査報告
安井豊
要旨
「地震に伴って発現する発光現象」は古来より多く知られているが,その成因・機構共にいまだに不分明で,学者の中でも,これは何か他現象の誤認ではないかとする人がかなりある. 筆者は昭和36年の日向灘大地震,昭和41年〜43年の松代群発地震に伴った発光現象などについての調査報告を3回にわたって本誌上で発表したが,ここに総報として最終報告をする. 筆者は,強酸性岩地域ではフィンケルスタインとポーエル両氏による圧電気電場内に,地震により地下より揺り出された十分な量のエマナチオンが存在する時に発光現象が生ずるとする.しかしその発光体の本体は直径数十メートルの下半部接地半球上の白色あるいは青白色体であり,付近に雲霧の存在する時は,本体よりの反射光透過光により光が分散されるとして,発光現象の形や色の複雑多岐性が見られるものとした. フィンケルスタイン, ポーエル氏の岩石圧電気の論文は日本ではまだひろくは紹介されていないようなので,本報告の末尾で同論文の大要を紹介させていただく.