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鹿屋の地電流と海洋潮汐
白木正規,田中靖章
要旨
地磁気の変化では,太陰日変化は,太陽日変化に比べて非常に小さい.この関係は,地磁気変化によって生じた地電流の日変化にも期待される.ところが,鹿屋(Kanoya;31°25’,130°54'E)で観測された地電流の太陰日変化は太陽日変化よりも大きい.この原因として,海洋潮汐が原因で生じた地電流が考えられる.これが事実ならば,地電流の中に海洋潮汐に対応したスペクトルのピークがみられるはずである.このことから,鹿屋の地電流のNS成分のスペクトル構造を調べ,鹿屋の近くの検潮所の潮汐資料と比較してみた.検出されたスペクトルの大きさは,地磁気変化によって生じたことでは説明がつかないが,海洋潮汐が原因で生じたと考えると説明しやすい.このことから,鹿屋の地電流には,海洋潮汐が原因である変化が,太陰日変化ばかりでなく,太陽日変化にもかなり含まれているようである.