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1972年8月4日〜5日の磁気嵐について
永井正男
要旨
1972年8月4〜5日の磁気嵐は次の点でたいへん特徴的であった. 1) 柿岡では4日22時12分に219γのHの減少を示した.また22時57分にHの減少から45分おくれて210γの東偏のDの変化を観測した.いずれの変化も継続時間は50〜60分であるが,このようにはげしい変化がsscのすぐあとにおこることは,柿岡のような中・低緯度の観測所では稀なことである. 2) 上記の変化に対応して.昼側の極光帯とくにCollegeでは-1,500γ〜+2,500γのたいへんはげしい振動性の変動を示した.一方夜側の極光帯におけるSodankylaでは,最大-1,000γの割合巾広い変化を示したにすぎない.4日21時30分, 22時10分, 22時30分における電流系の変動は昼側の極光帯で歪曲がはなはだしく,時計廻りの領域と反時計廻りの領域が振動性の変動に呼応して,はげしく位置を変えているのがわかった. 3) 5日14時00分のsscは、San Juan,Tucson,Fredericksburg等のアメリカゾーンでΔHが負を示し,通常のsscと様相が異なっている.これは時計廻りのDS(SC)の範囲が中・低緯度まで延びてきたためである. 5日15時10分の電流系は平行電流の向きが12時の方向を示し遅くなっているが,高緯度地方では通常のDS電流系と大差ない.しかし中・低緯度では広い範囲にわたって東向きの電流が卓越しているのがみられる. 一方5日15時30分の電流系は,ほとんど極光帯の全領域にわたって西向きの電流を示し,15時10分の電流系とだいぶ様相が異なっている. 4) 以上の他,柿岡のような中・低緯度の観測所においてさえ,振巾の大きな活動的なPc5が観測された.これは1958年2月11日の大磁気嵐以来のことである.