ナビゲーションをスキップ
北海道東部における地磁気地電流変化観測
森俊雄
要旨
1970年より北海道東部地域の地下電気伝導度構造を求めるため,各地に臨時観測点を設け,地磁気・地電流の変化観測を行っている.地磁気変化観測にはGIT型磁力計および自作の携帯式変化計を用い,地電流観測の電極には銅・硫酸銅電極または炭素棒電極を用い,記録にはぺンレコーダを用いた.現在までに根釧原野を中心に約10点で観測し, 解析を進めている.これまでに得られたパーキンソンベクトル分布及び地磁気変化と地電流変化との関係を述べる. 地磁気短周期変化より求めたパーキンソンベクトルは女満別から根室を結ぶ線上では,ほぼ東向であるが,太平洋岸を西へ行くに従って南から南西方向へと向きを変えていく.また堆積層の厚いと思われる根釧原野内陸部では鉛直分力の変化が非常に小さくなり,パーキンソンベクトルが除々に方向を変えていく.地電流の短周期変化については,太平洋岸に近い観測点は変化が非常に大きく,地磁気変化の方向が変ってもほとんど地電位差変化の方向が変らない,いわゆる地電流主方向が非常にはっきりしているが,根釧原野内陸部では変化振幅が小さく,主方向もはっきりしない.また,水平面内における地磁気変化方向と地電流変化方向との平均的ずれが,地質や重力異常と非常に対応が良いように思われる.