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柿岡における地磁気短周期(0.3min.〜9.0min.)変化の変換函数
佐野幸三
要旨
柿岡におけるKasmmerシステムの毎秒計測値を用いた地磁気短周期(0.3min.〜9.0min.)変化の変換函数実時間解析法およびその2,3の解析結果について報告する. 解析期間はJan.1977〜Mar. 1979で,今回の解析結果で最っとも注目すべきことは,このような短周期変換函数の時間的変化の中に,顕著な長周期変動が認められたことである.この変化は短い周期成分の変換函数になるほど卓越するという明瞭な傾向があり,またこれらの時間変化特性はAuとBu変換函数で全く良い一致を示している.これらの変化は地震発生(活動度)や雨量とある程度の相関性が見られ,また後述する地磁気活動度依存性とは無関係と考えられるので,それらは主として地球内部に起因する変化であると推定される. しかしながら,今回の解析法には磁場計測の分解能が0.1nTでは十分ではないこと(地磁気短周期変化振幅は一般に小さい.),また有効な地磁気変化があるなしにかかわらずの実時間連続解析であるというようないろいろな問題があり,個々に求められた変換函数は極めて大きな誤差(バラツキ)を持っている.さらに,その誤差に依存したかなり大きな系統誤差も認められ,これはまた地磁気活動度依存性とも考えられるもので,有意な地下に原因する変換函数の同定はそれほど容易ではない. この系統誤差(地磁気活動度依存性)はAuとBu変換函数でセンスが反対である.したがって,前述の変換函数の長期的変化は,少なくともこのような効果によるものではないと結論される.むろん,これらの変化の他に大きな短周期的変化も多く見られるが,それらについては外部要因・誤差要因によるものもかなり多いと考えられ,それらの判別はなかなか困難である.