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地震発生に関連した変換関数の時間的変化(V)−変換関数および他の関連現象の周期的変化−
佐野幸三
要旨
柿岡における変換関数の各種の周期的変化を,周辺の地震発生および地磁気活動度のそれらと関連させて,フーリエ解析法および重ね合せ統計法により解析した.今回の解析での主な結果は次のとおりである. 1977年3月より1978年12月までの期間の資料を解析する限り,周期60分より長い周期の変換関数と柿岡周辺の地震発生に,比較的顕著な27日周期変化が見出された.一方,これよりも短周期の変換関数にはあまり顕著な周期的変化はなく,また地磁気活動度は29日周期変化が顕著であった.この長周期変換関数の27日周期変化の振幅は例外的に大きく,また後述の地震発生との相関から期待される変換関数の変化より約2倍大きいことより,これは地震前兆現象的効果以外の何かの原因により変化振幅が増大されているものと考えられる.むろん,地磁気活動度依存効果でも全く説明できない.このように,柿岡の長周期変換関数には現在のところ原因はよくわからないが,地球のかなり深部にソースを持つと考えられる27日周期変化が存在するらしいことがわかった.それらはまた地震発生とにも何らかの関係があるかも知れない. ところで,今回解析した変換関数および地震発生の26日〜30日周期変化の各振幅,さらに前論文(PartII)で統計的に求められた変換関数の地震前兆現象的変化に対するそれらとを総合して,両者の振幅にはかなりの相関がある(但し,前述の27日周期変化は除く).地磁気活動度変化の振幅とこれらとにはほとんど相関はない.これらの事実より,前述の27日周 期変化を除き,今回求められた変換関数の周期的変化は主に地震前兆現象的変化であると思われる(変換関数の地震前兆現象的変化の再検出および再確認).