1977年3月から1981年4月までの50ヶ月間の柿岡における各種の変換関数および地磁気活動度について,それらの経年および季節変化を解析した.この解析には変換関数およびK-指数日合計のそれぞれの月平均値を用いた.
変換関数の経年変化は,その種類(Au,Bu,Av,Bv)および周期(10,20,30,60,90,120,180分)によりいろいろな形態を示している.概して,Au変換関数は減少,同Bvは増加の傾向を示しており,他のものは一部を除き顕著な直線的経年変化はあまりないようである.これらの経年変化は一般に直線的変化というよりは,むしろYanagihara and Nagano(1976)が周期数分の変換関数に対して見出した約6年周期変化と同様な変化を想定させる正弦的曲線変化とみなした方がよさそうである.それらのあるものは柿岡の地磁気活動度の経年変化と類似したところもあるが,各変換関数により,また周期により位相がかなり相違している点もあり,それらの関係については確実なところはわからない.今回は残念ながら地震データの解析は行なっておらず,これらの変換関数と地震との関係についてもなんともいえない.
変換関数の季節変化については,一般に夏期に極大,冬期に極小を持つような年周変化が卓越している.この特性はAv変換関数で最っとも明瞭にして顕著である.他の変換関数についても,Avほど明瞭ではなく,いろいろの多様性があるが,概略においてに似た年周変化を示している.中には夏・冬に極大,春・秋に極小を持つような半年周期が卓越している場合もある.特にBu変換関数は比較的この半年周期変化が卓越している.この半年周期変化はかなり地磁気活動度のそれと相関が良いようである.