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柿岡における磁気嵐出現の経年および太陽周期変化
佐野幸三,斎藤龍雄
要旨
磁気嵐の出現特性については,古くからいろいろと解析されてきたが,今回筆者らは1924〜1981年までの資料を用いて,その経年変化・太陽周期依存性を統計的に詳細に調査したので報告する.主な結果は次のとおりである. 1) 急始磁気嵐(SSC)は,太陽磁場極性による出現非対称性を示す。磁気嵐の出現数を太陽黒点数の函数としてみた場合,大規模磁気嵐は太陽磁場がS極性期間により多く,小規模なものはN極性期間により多く出現する.特に巨大磁気嵐(SC振幅>100nT,変化較差>500nT) はS極性期間のみに出現している. 2) 急始磁気嵐出現数と太陽黒点数は一般に高い相関を示すが,近年の21サイクルではこの関係がかなり乱れている. 3) 緩始磁気嵐(Sg) は太陽黒点減少期後期に多発するが,太陽磁場のN,S極性期間に,ピーク出現年に約1年程度の差がありそうである.また,太陽黒点増加期にも,小さい2次的な出現数のピークがありそうである(特にN極性期). 4) 緩始磁気嵐も太陽黒点数(活動度)依存性が認められるが,19サイクル(今世紀太陽活動度最大)期にはこの関係が乱れ,緩始磁気嵐の出現が急減している. 5) その他,1956年よりSC*の出現数および出現率が急増していることが特筆される.