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地磁気擾乱と太陽活動との相関
小岩井誠
要旨
1. 地磁気擾乱が太陽採層の特殊爆発の際に放出される微粒子流に起因することは殆ど疑いの余地がない. 2. 筆者は柿岡地磁気観測所の地磁気記象および太陽写真を調査して,黒点発生あるいは黒点面積急発達の際,地磁気擾乱の起ることを認めたが,Giovanelliは採層爆発と黒点型に就き統計的に調査して,爆発の全部が黒点群に関係あり,特に黒点発生の初期におけるγ,βγ 型で面積急発達の際最も様爆発が旺盛なることを求めており,筆者の考へと甚だ良く一致してゐる. 3. 筆者は各黒点群に就き1935年以降毎日の面積増加率を求め, 之と地磁気水平分力較差とを比較して両者が相当良く一致することを認めた. 4. 更に起時の明瞭なる地磁気擾乱と,之に対応すると考へられる黒点群の急発達の時刻とから両者の日差を求め,1934年1月から1940年 3月までの平均として1.22日を得た.之は微粒子流の速度平均が1400km/secなることを示してゐる. 5. 1934-l940年に就き年毎に日差を求めると,0.87日−2.07日の間にあり,0.87日は太陽活動の極大期,又2.07日は極小期になってゐる.尚,ウオルフ指数に依る太陽活動度と日差とは極めて明瞭なる関係を示す. 6. 此の統計のみにては太陽活動と微粒子速度の変化の関係は決定的ではないが,他の二三の現象を考へると,其の可能性が充分考へられ,太陽活動の極小期には850km/sec 極大期には2000km/sec の速度となると結諭しでもそれを否定出来ない.