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日本の地磁気観測データを用いた磁気嵐の研究
角村悟,外谷健,石井美樹,手島聡
要旨
日本の地磁気観測点,女満別・柿岡・鹿屋で観測された磁気嵐の性質を,現象報告・毎分値を用いた統計・数値解析により調査した.柿岡および女満別における毎分値をsscで開始する磁気嵐について重ね合わせてみると,一日またはより長い周期について,地球の電磁誘導による遮蔽効果によりいくぶん弱められてはいるもののz成分に環電流の直接の影響が見られる.その周期帯におけるH,Z成分を比較して内部および外部起源の場の強さの比を概算したところ,力武・佐藤(1957) によって得られた数値とほぼ一致した.柿岡より局所的なCA効果が小さい女満別のZ成分は,環電流の強度を見積もるための即時的なモニターツールの一つとして使えるかも知れない.しかし長期変化を吟味するには日本付近の複雑なZ成分の永年変化が充分に解明されなければならないことが示される.柿岡における毎分値を地方時に分けて重ね合わせた記録に磁気嵐時における日変化パターンが見られた.それらは,沿磁力線電流およびそれによる電離層電流系によるものであろう。IGY以来現在にいたるまでの問に観測された磁気嵐の中で,非常に大きなD成分のレンジを記録した1958年2月11日の磁気嵐の変化パターンについて簡単な調査をした.ssc直後に発生したH成分のnegative bayに対応してD成分に現れた変化がD成分のレンジを増加させるのに寄与していることが示される.昼間の時間帯の中低緯度において観測されるnegative bayを含め,磁気嵐のケーススタディが今後も重要であることが示唆される.