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確率差分法を用いた火山性全磁力変動の抽出手法
藤井郁子
要旨
地磁気観測値から火山性の長周期変動を抽出することを目的に,超高層や外核起源の広域的変動を確率差分法を使って除去する手法を開発した.三宅島の全磁力に対し,神津島の全磁力,柿岡の磁場3成分を参照することで,局所的な磁化や誘導を含む幅広い波長を持つ変動に対応した.また,確率差分法の係数の最適化にはAICを取り入れ,客観的な判断を自動で行うようにした.残差に残留する電離層潮汐,海洋潮汐による成分は,Sqと海洋潮汐の周期を持つ正弦波の重ね合わせをロバスト最小自乗法により見積もって除去した.従来の神津島との単純差を求める手法より,火山性ではない変動を有意に減らすことができた. 新しい解析手法を観測値に容易に適用するため,必要な前処理,後処理を含むプログラム群を作成し一連の作業を自動化して,2002年より三宅島の4観測点の全磁力毎分値に対して適用を開始した.阿蘇山,草津白根山など,他の火山にも順次適用を広げている.
2004年2月6日受付,2004年2月25日改訂,2004年2月26日受理