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昭和基地における大気電場観測
源泰拓
要旨
南極大陸に近い東オングル島に位置する昭和基地において,フィールドミル回転集電器を用いた大気電場観測が行われている.大気電場観測値から局地的な擾乱を排除するために,2005年2月から2006年1月にかけてのデータについて,主に短周期変動の性質を調べた. 大気電場毎秒値から高速フーリエ変換によるスペクトルを求めたところ,周期が20秒以上になるとスペクトルが著しく減衰していることから,前後61秒の移動平均を毎分値として算出すれば,短周期の擾乱を排除できると考えた. 大気電場の毎正分の前後61秒移動平均を算出し,同じく毎正分の前後61秒間の標準偏差を算出した.この大気電場毎分値と標準偏差を,地上気象毎分値の風速と比較したところ,ブリザードが観測されている際に大気電場の観測値が継続して負の値を示す,あるいは標準偏差が極端に小さくなることがあった.グローバルサーキットをモニターするという目的に鑑みれば,ブリザード時あるいは継続的に電場が負となる期間は,いずれも排除すべき期間である.これらの期間を除けば,大気電場と平均風速の間には正の相関があった.標準偏差と平均風速の間には相関が見られなかった.
2007年11月29日受付,2008年1月16日改訂,2008年1月23日受理