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中低緯度の地磁気脈動
柳原一夫
要旨
脈動という名のもとに包括される短周期現象には種々の形態のものがあり,中低緯度において観測されるものに対してpt,pcという一応の分類が行われているが,これ等は代表的なものであっても観測される脈動全部を十分にいいつくすことは出来ない.又観測の条件例えば器械の特性,観測の時期等が結果に与える影響も重視しなければならない.この点も考慮しpt, pcの一応の分類から出発して典型的形態特性を求め,それ等の差異に従って再分類又は新分類を進めそれによる特性群を求める.このようにして合理的な分類とそのおのおのに対する特性を記述することができた.例えば日変化,季節変化,年々変化等もそれぞれについて固有のものをうることができる. 又この過程において脈動の活動度と地磁気擾乱との関係が脈動の各種類に応じて求められた.あるいは地磁気擾乱の種類と強度に応じて観測される脈動の種類が違って来るともいうことが出来る.脈動の世界時日変化に関連して地磁気活動度のスパイラルパターンを調査したが従来いわれている観測結果と称するものについては疑問の点が多い.しかしKインデックスについて調べた所では少し違つてはいるが一応スパイラル状の極大地域がみられた.脈動の世界時日変化もこの点と同様にして考えることが出来る. 各種類の脈動の多くの特性を現象論的に相互間又は他の地磁気擾乱等との相互関係において説明することは可能であるが,その生因を物理的に解明するにはなお多くの困難が存在している.今は一応外圏大気内の電磁流体力学的現象として説明を試みた.地表上3000粁位の所にあると考えられるアルフベン波速度の極大地域を境としてそれより下部においてはやや安定な振動が成立しそれが周期20秒程度の定常的振動に相当する.又外圏大気全体の不安定な振動がもっと周期の長い減衰状振動に対応する.前者の典型的出現がpcであり後者のそれはptである.