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電気伝導度中部日本異常の経年変化
柳原一夫
要旨
ある一つの観測点における短周期地磁気変化のベクトルは一般的に一つの面にのっている.この面の地域分布あるいは変化周期に対する依存性などは相当多く研究されているが,時間的変化については殆んど調べられていない.この論文では東京(1897−1912)と柿岡(1913− )の観測を使って長い期間の経年変化を求めた.その結果30%にも達する案外大きな変化のあることがわかった.これは観測誤差によるものとは考えられない.面の傾斜が最小になる時期は関東大地震(1923)と一致し,それまで減少してきていたものが地震後比較的急激に増加して10年位後に最大となってその後徐々に減少している.この減少の傾向がそのまま持続するとすれば関東大地震から100年後にまた同じ極小値に到達する.また現在の値はすでに観測初期の値に達しているのでその後が初期と同様の経過をたどるとすれば70年後となる.これらのことは70−100年位の周期的変化を予想させる.プレートテクトニックスの観点から説明されるものかもしれない.