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地磁気永年変化における周期項と非周期項
柳原一夫
要旨
地磁気永年変化に周期数十年の周期的変化の含まれることは既に指摘されている.観測された永年変化から非周期的変化を引き去れば,この周期的変化が明らかに認められるが,その周期,振幅はしばしば誤まり定められやすい.それは真の非周期的変化を直接求め難いからである.観測値を直接時間の二次式(あるいは一次式)で近似することを考え最小ニ乗法を適用したのでは,正しい非周期項はえられない.したがってこのときえられる非周期項を引いた残りの周期的変化ももちろん正しくない.これらのことはすべて観測期間と周期とが同程度であるためにおこる. 正しくは,二乗誤差を最小にするという原則を,周期項と非周期項の和という関数について,限定された期間の観測値に対して適用すべきである.この方法について考究し,現実の永年変化を解析した.中緯度に均等に分布する10カ所の観測所の平均永年変化から水平分力と垂直分力の年変化率の周期項として,周期60年,振幅15〜16γ/yr がえられた.